初レイドが始まった
ついに、レイドが始まった!
それぞれの入口から出てきたラビリミンは、手に色々な武具を持っている。
虫眼鏡で観察すると、おそらく安全ピンか何かを加工したであろう剣や、つまようじの杖、プラスチックの欠片の盾、魚の骨と輪ゴムで作った弓矢などだった。
俺の方の先頭に立つラビリミンは、水色のマントを翻している。
っていうか、あのマント。なくなってたと思ってた、俺のスマホ拭きじゃねえか!
なんてこった。机の上に置いといたのに、鉢植えから遠征して、いつの間にかダンジョンに引っ張り込んでたのか。
あの頑丈な布をどうやって切り裂いたのか、見事なマントに生まれ変わっている。
二つの鉢植えから出てきたラビリミンは、中央の橋で∠(`・ω・´)と敬礼をしあい、すれ違って互いのダンジョンへと入っていく。
こちらは三匹、朝倉の方は四匹である。
朝倉が言う。
「レイドには、数十分はかかるはずです。伏見さん、お弁当って持ってきてます?」
「はい。ほか弁でノリ弁当を買いました。お茶もあります」
「じゃ、ここで待ちながら食べましょうか」
朝倉がパイプ椅子を用意してくれた。
お弁当を膝の上に開き、さあ食べようとしたところ、
「って……ええええっ!?」
突然、朝倉が声を上げる。
まだ始まって十分も経っていないのに、彼女のラビリミンがキューキュー鳴きながら出てきたのだ。何匹かは気絶しているようで、足を引っ張られてズルズルと地面を引きずられてる。
「う、うそ……? 撤退っ! レベル5のダンジョンで!?」
朝倉はしばらくあんぐりと口を開けていたが、やがてスマホを取り出して俺のダンジョンを調べ始めた。
「レベルは……うん。間違いなく5だよね。経験値も0。属性は……冥!? 冥ってなによ、冥って!」
朝倉はスマホで『冥』ダンジョンについて、調べているようだ。
俺はチクワの磯辺揚げに醤油を垂らし、齧りながら彼女に言う。
「あー。なんか、冥ダンジョンってすっごく珍しいらしいです。ウィキペディアによると、記録上はここ二百年近く現れてないんだとか」
「えーっ!? そ、そそそそ、そんなのっ。超絶激レアダンジョンじゃないですかぁ!」
「ですね」
冥属性がレアで正体不明なんてのは、もう散々調べて分かってる。
グーグルで調べた。
ウィキも隅々まで読んだ。
ついでに、Yahoo知恵袋でも聞いた。「冥属性なんてねーよ。ググレカス」「闇属性の勘違い乙」「調べても出ないなら存在しないってこと(笑)」「私の属性は光です!誰か詳しい方が教えてくれるといいですね!」「私はダンジョンスプラウトを育てて3年になりますが、ありえません。私の経験では〜(関係ない自分語り」なんて回答ばかりで、残念ながら何も参考にならなかったが。




