第077話: 秘湯発見!
翌日。
食糧調達のためにジャングルを探索していると、ララが鼻をひくつかせた。
「くんくん……あ! 硫黄の匂いがする!」
「硫黄? ということは……」
僕たちはララの案内で岩場を登った。
すると、そこには湯気を上げる天然の池――いや、露天風呂が広がっていた。
「温泉だぁー!」
「すごい! こんなところに温泉が湧いているなんて!」
透き通ったお湯が、岩の間からコンコンと湧き出ている。
手を入れてみると、熱すぎずぬるすぎず、絶妙な湯加減だ。
『水質分析完了。単純硫黄泉。疲労回復、および魔力回復効果が確認されました』
「魔力回復効果? それは珍しいのう」
ソフィアが目を輝かせた。
「ユウよ、ここは我々が占領する。お主は見張りをしておれ」
「えっ、僕も入りたいんだけど……」
「ならぬ。乙女の花園じゃ。……覗いたら灰にするぞ?」
大賢者様の理不尽な命令(と殺気)により、僕は岩場の陰で見張りをすることになった。
岩の向こうから、キャッキャという楽しげな声が聞こえてくる。
「わあ、気持ちいいー! 極楽だねぇ」
「アイリスさん、背中流しますよ」
「背中を流す? なぜだ? 自分で洗えるぞ」
「い、いいえ、これはコミュニケーションです!」
「ふむ……不思議な儀式だな」
どうやらアイリスも一緒に入っているようだ。
彼女の小麦色の肌に、お湯はさぞかし映えるだろう……なんて想像をしてはいけない。灰にされる。
「ソフィアちゃん、肌ツルツルだねー」
「当然じゃ。わらわは魔力で常に細胞を活性化させておるからな」
「へぇー、便利だねぇ。アタシにも教えておくれよ」
平和だ。
恐竜が闊歩する危険な島だということを忘れてしまいそうだ。
一時間後。
全員が茹でダコのように赤くなって出てきた。
「ふぅ……生き返ったわい」
「最高でした……!」
アイリスもさっぱりしたようで、髪が濡れている様子が妙に色っぽい。
泥やペイントを落とした彼女の素顔は、予想通りの美少女だった。
「……気持ちよかった。ありがとう」
「どういたしまして。……じゃあ、次は僕の番でいいかな?」
「うむ、許す。だが長湯はするなよ? 湯あたりするからの」
ようやく許可が出た。
僕は服を脱ぎ捨て、秘湯へと飛び込んだ。
「あぁぁぁ……しみるぅぅ……」
旅の疲れが溶け出していくようだ。
この温泉、成分分析してキャンピングカーのお風呂でも再現できないかな。
あとでナビに相談してみよう。
こうして、僕たちは英気を養った。
明日はいよいよ、アイリスが守る「遺跡」へと向かうことになる。




