第075話: 大賢者、空から降る
「ソフィア!? どうしてここに?」
「ふん、決まっておろう。退屈じゃったからじゃ」
幼女賢者ソフィアは、泥だらけになったローブをパタパタと払いながら、悪びれもせずに言った。
「王都の会議なんて、狸爺どもの腹の探り合いばかりで欠伸が出るわ。そんな時、お主の魔力パスが妙な場所に繋がっておるのを感じてな。面白そうじゃから飛んで来たのじゃ」
彼女は周囲――ジャングルと恐竜の咆哮が聞こえる原始の世界――を見渡して、ニヤリと笑った。
「ほうほう、ここはまた愉快な場所じゃな。古代の魔力が満ちておる」
「そ、空から人が降ってきた……」
アイリスだけは、ポカーンと口を開けて固まっている。
「ん? そこの野性味あふれる娘は誰じゃ?」
「アイリスだよ。この島の住人で、僕たちを案内してくれたんだ」
「ほほう。わらわはソフィアじゃ。よろしくな」
ソフィアが手を差し出すと、アイリスは恐る恐るその手に触れた。
瞬間、バチッ! と静電気が走る。
「ひっ!? な、なんだ今の力は……!?」
「ふむ。少々魔力が漏れておったか。……お主、なかなか良い素質をしておるな」
ソフィアは興味深そうにアイリスを見た。
「まあよい。ユウよ、わらわもお主らのバカンスに混ぜてもらうぞ。客室は空いておるか?」
「もちろん。ソフィア専用の部屋もあるよ」
「うむ、殊勝な心がけじゃ」
彼女は当然のようにキャンピングカーに入っていこうとする。
『マスター。ソフィア様の生体反応を確認。……ゲスト登録完了。ようこそ、ソフィア様』
「うむ、ナビも元気そうじゃな。……おっ、冷蔵庫にプリンがあるではないか」
入って数秒で冷蔵庫を漁り始める大賢者様。
嵐のような合流だが、これほど心強い仲間はいない。
「……あのちっこいの、何者なんだ?」
「世界最強の魔法使いだよ。たぶん、この島の恐竜全部と戦っても勝てる」
「なっ……!?」
アイリスは驚愕のあまり言葉を失っていた。
「ま、とりあえず歓迎会でもしようか。ソフィアも来たことだし」
「賛成! お肉焼こうお肉!」
ルナが手を挙げる。
こうして、最強の援軍を迎えた僕たちのサバイバル生活は、さらに賑やかになるのだった。




