第067話: 迫る危機(シーサーペント)
「シーサーペント……海竜種の中でも、最悪の暴れ者です!」
マリーナ姫が悲鳴を上げる。
都市のドーム結界を食い破り、侵入してきたのは全長数十メートルに及ぶ巨大な青い蛇――シーサーペントだった。
その巨体が動くたびに、周囲の水流が乱れ、建築物がなぎ倒されていく。
「ひどい……街が……」
警備隊の半魚人たちが槍を持って応戦するが、シーサーペントの鱗には傷一つ付かない。
逆に、尻尾の一撃で吹き飛ばされている。
「ユウ、どうする? やるかい?」
「もちろん。放っておけるわけないだろう」
僕は即断した。
ルナ、セリス、ララも既に戦闘体勢に入っている。
「ナビ、戦闘モード起動! あのヘビを街から追い出すぞ!」
『了解。潜水艦対戦モードへ移行。主砲、および魚雷発射管、ロック解除』
車内の照明が赤く切り替わり、アラート音が鳴り響く。
マリーナ姫が不安そうに僕を見た。
「でも、あんな怪物に勝てるのですか……?」
「任せてください。僕たちの『鉄のクジラ』は、地上最強ですから」
僕はニヤリと笑ってみせた。
不安な女性を安心させるのも、男の役目だ。
「マリーナ姫、貴女はここで待っていてください」
「いいえ! 私も行きます!」
彼女はきっぱりと言った。
「私の歌で結界を修復しなければ、被害が広がるばかりです。……怖くはありません。貴方たちがいてくれるなら」
「……分かりました。じゃあ、特等席にご案内します」
僕は助手席を指差した。
マリーナ姫を乗せ、スーパー・キャンピングカー・マリンは発進した。
スクリューが唸りを上げ、水流を切り裂いて加速する。
「行くぞ! 目標、シーサーペント!」
巨大な怪物の横っ腹めがけて、銀色の矢となって突っ込んだ。




