第059話: 海上の砲撃戦
「攻撃許可。……いっけぇぇぇっ!」
僕が叫ぶと同時に、ナビが制御する自動迎撃システムが火を吹いた。
キャンピングカーの屋根から発射されたのは、高圧縮された水魔法の弾丸だ。
ヒュンッ! ドォォォォォンッ!!
水弾は正確無比な弾道で海賊船のマストに直撃し、それをへし折った。
「ええええっ!? マストが!?」
「バカな! 一発でだぞ!?」
海賊たちが悲鳴を上げる。
続けて二発目、三発目が放たれる。
今度は船の横っ腹、大砲が並んでいる砲門エリアだ。
ドガガガガッ!
海賊船の旧式大砲が次々と破壊されていく。
もちろん、船体が沈まない程度に手加減はしている。
殺す必要はない。無力化できれば十分だ。
『敵武装の80%沈黙。……マスター、トドメの一撃を推奨します』
「了解。『スーパー・キャンピングカー・マリン』の戦い方、見せてやる!」
僕はハンドル横のスイッチを入れた。
ナビが提案した新しい戦術――『自動回避モード』だ。
「行くぞ!」
僕は思い切りハンドルを切った。
巨体なキャンピングカーが、ありえない機動で海面を滑るように旋回する。
スクリューが逆回転し、ドリフトのような動きで敵船の周囲を高速で回り始めた。
「うわあああ! なんだあの動きは!」
「目が回るぅぅぅ!」
海賊たちは翻弄され、甲板の上を転げ回っている。
彼らが反撃しようにも、高速移動するこちらを捉えることは不可能だ。
「今だ! ナビ、魚雷発射!」
『了解。水魔法ミサイル(魚雷モード)、射出』
船底から二発の青白い光弾が水中に放たれた。
それらはまるで生き物のように敵船の船底へ向かって進み――
ズドォォン!!
船底のスクリュー(推進器)だけをピンポイントで破壊した。
「推進器破壊確認。敵船は航行不能です」
「よし! これで手出しはできないだろう」
煙を上げる海賊船。
船長はへたり込み、完全に戦意を喪失していた。
「降参だ! 降参させてくれぇ!」
「命だけは助けてくれぇ!」
白旗(その辺にあった白いパンツだったが)が振られる。
僕たちの完全勝利だ。
「ふん、口ほどにもないね」
ルナが冷ややかに言い放つ。
セリスもほっと胸を撫で下ろした。
「怪我人が出なくてよかったです(海賊側は知りませんが)」
「おじさんたち、弱っちかったねー」
ララの一言が一番強烈だったかもしれない。
その後、僕たちは動けなくなった海賊船をロープで牽引し、近くの港まで運んでいくことにした(もちろん、衛兵に突き出すためだ)。
「それにしても、すごい性能だね」
ガーネットさんは感心したようにキャンピングカーを撫でた。
「あのドリフト機動、普通なら転覆してるよ。姿勢制御が見事だったね」
『微調整に0.02秒のラグがありました。次回の課題です』
「ははっ、厳しいねぇ」
ナビの言葉に、ガーネットさんは楽しそうに笑った。
圧倒的な性能差。
僕たちは改めて、この『スーパー・キャンピングカー・マリン』の凄さを実感することになった。
これなら、どんな海でも渡っていける。
そう確信した戦いだった。




