第050話: 新たな旅へ
バルガス討伐から数日後。
王城の大広間では、盛大な祝賀パーティーが開かれていた。
主役はもちろん、僕たちだ。
「セリス様! どうかこの国に残ってください!」
「貴女こそ真の聖女です! 大神官として教会を導いてください!」
貴族や神官たちが、こぞってセリスに群がっている。
かつて彼女を追放した連中も、手のひらを返したように媚びへつらっていた。
「……人気者は辛いねぇ」
僕は壁際で料理をつまみながら苦笑した。
隣には、ドレスアップしたルナとララがいる。
「へっ、あんな連中の相手なんて真っ平ごめんだよ。私は早く旅に出たいね」
「私もー! 王都のご飯も美味しいけど、ユウお兄ちゃんのご飯が一番だもん!」
二人の言葉に、僕は嬉しくなる。
やはり、僕たちの居場所はここではない。
「……ユウ様」
人混みを抜け出して、セリスがやってきた。
その顔は少し疲れているが、僕を見るとパッと明るくなった。
「お疲れ様。……どうする? 大神官の椅子、用意されてるみたいだけど」
「いいえ。丁重にお断りしました」
セリスはきっぱりと言った。
「私は、教会という鳥籠の中で祈るだけの聖女には戻りたくありません。……私は、もっと広い世界を見てみたいのです。ユウ様と一緒に」
その言葉を聞いて、僕はニヤリと笑った。
答えは決まっている。
「よし。じゃあ、行こうか」
「はい!」
僕たちはこっそりと会場を抜け出した。
エリス王女だけには挨拶をしておこうと思ったが、彼女はバルコニーからこちらを見て微笑んでいた。
言葉はいらない。彼女なら、きっと立派な女王になるだろう。
王城の裏門には、修理を終えたキャンピングカーが待っていた。
エンジンをかけると、心地よい振動が伝わってくる。
「次はどこへ行く?」
「そうですね……。東の海なんてどうでしょう? 新鮮な魚介類が美味しいと聞きます」
「海か! いいな! 水着回、再びだな!」
「お魚! 食べたい!」
「わふっ!」
みんなの意見は一致した。
目的地は東の海。
まだ見ぬ景色と、美味しい食材を求めて。
「ナビ、出発進行だ!」
『了解。目的地設定、東の海。……快適な旅をお楽しみください、マスター』
キャンピングカーが走り出す。
背後には、平和を取り戻した王都が輝いていた。
僕たちの旅は終わらない。
最強のキャンピングカーがある限り、どこまでも行ける。
過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです!




