第049話: 聖なる浄化
「はあああああっ!!」
セリスの祈りと共に、キャンピングカーの主砲から極太の光線が放たれた。
それは単なるエネルギー弾ではない。
聖女の「浄化」の力が込められた、神聖なる一撃だ。
「ギシャアアアアッ!?」
怪物が悲鳴を上げる。
光線は怪物の吐くブレスを押し返し、その巨体を貫いた。
そして、胸にある『蛇の紋章』へと直撃する。
「消えろぉぉぉぉっ!!」
僕が叫ぶと同時に、光が弾けた。
夜空が真昼のように明るく照らされる。
「グオオオ……バ、カナ……ワタシノ、リソウキョウガ……」
光の中で、バルガスの怨嗟の声が響く。
だが、それもすぐに消え失せた。
黒いヘドロのような身体は光に焼かれ、塵となって霧散していく。
「……終わった、のか?」
光が収まると、そこには何も残っていなかった。
怪物は消滅し、空には満月だけが静かに輝いている。
「はい。……邪悪な気配は消えました」
セリスが肩で息をしながら答える。
彼女の顔には疲労の色が見えるが、その表情は晴れやかだった。
「やったー! 勝ったー!」
「へっ、ざまぁ見ろってんだ!」
ララとルナが抱き合って喜ぶ。
エリス王女も、涙を流しながらセリスに頭を下げた。
「ありがとう……。貴女のおかげで、国は救われました」
「いいえ。これはみんなで掴んだ勝利です」
セリスは謙虚に微笑む。
その時、地上から歓声が聞こえてきた。
「おお! 怪物がいなくなったぞ!」
「聖女様だ! 聖女様が救ってくださったんだ!」
王都の人々が、空に浮かぶキャンピングカーを見上げ、手を振っている。
彼らは見ていたのだ。
セリスが放った聖なる光を。
そして、彼女が国を救った英雄であることを。
「……聞こえるか、セリス。あれが君への称賛だ」
「ユウ様……」
「もう誰も、君を『穢れた聖女』なんて呼ばない。君は、正真正銘の『救国の聖女』だ」
僕の言葉に、セリスの瞳から大粒の涙が溢れ出した。
それは悲しみの涙ではなく、喜びと安堵の涙だった。
「はい……っ! ありがとうございます……っ!」
彼女は僕の胸に飛び込み、子供のように泣きじゃくった。
僕はその背中を優しく撫でながら、眼下の王都を見下ろした。
街には明かりが戻り、平和な夜が訪れようとしていた。




