第043話: 決戦前夜の作戦会議
「……というわけで、敵の本丸は王城の地下祭壇。王女殿下は西の塔に幽閉されている可能性が高い」
キャンピングカーのリビング。
僕はテーブルに王都の地図(ナビが作成したホログラム)を広げ、みんなに説明した。
「明日の夜、儀式が始まると同時に突入する。目的は二つ。儀式の阻止と、王女殿下の救出だ」
「二手に分かれる必要があるな」
ルナが腕組みをして地図を睨む。
「ああ。僕とキャンピングカーが正面から突っ込んで陽動になる。その隙に、別動隊が西の塔へ潜入して王女を助け出す……というのが基本プランだ」
「なるほど。派手に暴れる役と、こっそり助ける役ってわけね」
「そういうこと。……で、チーム分けだけど」
僕は全員の顔を見渡した。
「陽動班は僕とナビ、そしてポチ。キャンピングカーの火力で敵を引きつける」
「了解です、マスター。全兵装のメンテナンスは完了しています」
「わふっ!」
「そして救出班は、セリス、ルナ、ララ、ホタル。……頼めるか?」
セリスが少し不安そうな顔をする。
彼女は戦闘向きではない。だが、王女を説得し、安心させるには彼女の存在が不可欠だ。
「大丈夫です。……私、やります」
「へっ、任せな。潜入なら私の独壇場だ。セリスとララは私が守るよ」
「私も! 鼻が利くから、王女様の匂いを探すよ!」
頼もしい仲間たちだ。
これならいける。
「よし。作戦開始は明日の日没後。それまでは英気を養おう」
僕はパンと手を叩き、空気を切り替えた。
「というわけで……今夜は『決起集会』だ! 好きなものを食べていいぞ!」
「やったー! お肉! お肉食べたい!」
「私はプリン! バケツプリンがいい!」
「ふふっ、私は……温かいスープが飲みたいです」
みんなのリクエストを聞き、僕はネットスーパー画面を開く。
今夜ばかりはポイントを気にせず、最高級の食材を買い込んだ。
厚切りのステーキ肉、新鮮な野菜、高級フルーツ、そして大量のスイーツ。
キッチンに立ち、腕によりをかけて料理を作る。
「かんぱーい!」
ジュースとコーラで乾杯し、宴が始まった。
明日には命がけの戦いが待っている。
だからこそ、今は笑って過ごしたい。
この温かい時間が、僕たちの戦う理由なのだから。
「ユウ様……」
宴もたけなわの頃、セリスがベランダ(車外に展開したウッドデッキ)にいる僕の元へやってきた。
「どうしたの? 中に入らないと冷えるよ」
「いえ、少し風に当たりたくて」
彼女は僕の隣に並び、夜の王都を見下ろした。
遠くに見える王城は、不気味な光を放っている。
「……怖くはない?」
「怖いです。でも……それ以上に、ワクワクしています」
「ワクワク?」
「はい。ユウ様たちと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がするんです。……私、強くなりましたよね?」
セリスが微笑む。
その笑顔は、出会った頃の儚げなものではなく、芯の強さを感じさせるものだった。
「ああ。君はもう、守られるだけの聖女じゃない。……僕たちの自慢の仲間だ」
僕が言うと、彼女は嬉しそうに目を細めた。
「明日は、必ず勝ちましょう。そして……またみんなで、ご飯を食べましょうね」
「約束だ」
僕たちは指切りをした。
夜風が少しだけ優しく感じられた。




