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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第041話: 王都凱旋(隠密)

魔法都市アルカディアを出発してから数日。

僕たちのキャンピングカーは、ついに王国の首都『王都グランセル』を見下ろす丘の上に到着していた。


「……懐かしいです」


助手席のセリスが、眼下に広がる街並みを見て呟く。

白亜の城壁に囲まれた巨大な都市。

その中心には、尖塔を数多く持つ壮麗な王城がそびえ立っている。

かつて彼女が聖女として崇められ、そして追放された場所だ。


「ここに戻ってくる日が来るとはな」

「はい。……でも、今はもう怖くありません」


セリスは力強く頷いた。

その瞳に迷いはない。

呪いという足枷が外れた彼女は、以前よりもずっと凛として美しく見えた。


「さて、問題はどうやって入るかだが……」


僕はモニターに王都の入り口の映像を映し出した。

正門には長蛇の列ができており、兵士たちが厳しい検問を行っている。


「警備が厳重だな。何かあったのか?」

「……雰囲気が変だね」


後部座席からルナが身を乗り出す。

彼女の鋭い勘が、何かを感じ取ったようだ。


「街全体がピリピリしてる。まるで戒厳令でも敷かれてるみたいだ」

「ふむ。ナビ、傍受できる通信はあるか?」

『はい、マスター。街中の会話や衛兵の無線を解析中……。どうやら、近日中に『聖なる儀式』が行われるようです』


「聖なる儀式?」

「聞いたことがありません。この時期に大きな祭事はないはずですが……」


セリスが首を傾げる。

嫌な予感がする。

あの陰湿神官バルガスが関わっているなら、ろくなことではないだろう。


「とにかく、正面から堂々と入るのはリスクが高いな。セリスはまだ指名手配中だし」

「変装していく? 私、得意だよ!」


ララが尻尾を振りながら提案するが、狐耳と尻尾を隠すのは至難の業だ。

それに、キャンピングカー自体が目立ちすぎる。


「いや、ここは正攻法で行こう。……ただし、権威という名のね」


僕は懐から一枚の羊皮紙を取り出した。

大賢者ソフィアから託された紹介状だ。

これには王家の紋章よりも強力な、大賢者の印章が押されている。


「ナビ、車体の色を『貴族仕様』に変更。黒塗りの高級車風だ」

『了解。光学迷彩、パターン変更』


銀色だったキャンピングカーのボディが、重厚な漆黒へと変化する。

さらに、フロントにはソフィアの印章を模したエンブレムをホログラムで投影した。


「よし。これなら文句ないだろ」


僕たちは丘を下り、堂々と正門へと向かった。

列に並ぶ馬車を横目に、優先レーンへと滑り込む。


「止まれ! このレーンは貴族専用だぞ!」


衛兵が槍を構えて立ちはだかる。

僕は窓を少しだけ開け、尊大な態度で紹介状を突きつけた。


「魔法都市アルカディアより、大賢者ソフィア様の使者として参った。道を開けよ」

「だ、大賢者様だと……!?」


衛兵が紹介状を確認し、顔面蒼白になる。

ソフィアの名前は、この国でも絶対的な効力を持っているようだ。


「し、失礼いたしました! どうぞお通りください!」


衛兵たちが慌てて敬礼し、門を開ける。

僕たちは悠々と王都への入国を果たした。


「ちょろいもんだな」

「さすがユウ様。悪知恵が働きますね」

「褒めてる?」


車は石畳の大通りを進む。

しかし、街の様子はやはりおかしかった。

活気があるはずの市場は静まり返り、人々は伏し目がちに歩いている。

そして至る所に、あの『蛇の紋章』をつけた神官兵が立っていた。


「……完全に支配されてるな」


ルナが低い声で呟く。

どうやら僕たちは、とんでもないタイミングで帰ってきてしまったらしい。

この異様な雰囲気と『聖なる儀式』。バルガスの陰謀は、いよいよ最終段階に入ろうとしているのかもしれない。




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