第040話: 新たな旅立ち
翌朝。
賢者の塔の広場には、修理と補給を終えたキャンピングカーが停まっていた。
昨日の激戦でボロボロになった装甲も、ソフィアの修復魔法と僕のスキルのおかげで、新品同様の輝きを取り戻している。
「……本当に行ってしまうのか?」
見送りに来たソフィアが、名残惜しそうに言った。
その手には、お土産として渡したコーラのケースがしっかりと握られている。
「ああ。セリスの呪いは解けたけど、まだやるべきことが残ってるからな」
「うむ。……あの男、バルガスへの落とし前じゃな」
ソフィアの瞳が鋭く光る。
彼女にとっても、自分の領域である魔法を悪用されたことは許しがたいことなのだろう。
「ユウよ。これを授けよう」
ソフィアは懐から一枚の羊皮紙を取り出し、僕に手渡した。
「これは?」
「わらわの署名入りの紹介状じゃ。王都の宮廷魔導師長は、わらわの弟子でな。これを見せれば、王城への立ち入りも容易になるじゃろう」
「助かるよ。ありがとう、ソフィ」
僕が頭を撫でると、彼女は少しだけ頬を赤らめ、すぐにプイと顔を背けた。
「ふん、礼には及ばぬ。……また、面白い土産話を持ってくるのじゃぞ」
「約束するよ」
僕は車に乗り込み、エンジンをかけた。
助手席には、憑き物が落ちたように晴れやかな表情のセリスが座っている。
「ユウ様。……本当に、ありがとうございました」
「いいってことよ。仲間だろ?」
「はい……!」
セリスは涙ぐみながら、満面の笑みを浮かべた。
その笑顔は、今まで見たどの表情よりも美しかった。
「さあ、出発だ! 次の目的地は王都!」
「おう! 殴り込みだ!」
「王都のご飯、楽しみー!」
「わふっ!」
ルナ、ララ、ポチも元気いっぱいだ。
キャンピングカーは軽快なエンジン音と共に走り出す。
背後で手を振る小さな大賢者の姿が、徐々に小さくなっていく。
目指すは王都。
そこには、全ての元凶である大神官バルガスがいる。
待っていろよ、陰湿神官。
最強のキャンピングカーと、最強の仲間たちが、お前の悪事を暴きに行ってやるからな。
僕たちの旅は、いよいよクライマックスへと向かって加速していくのだった。




