第036話: 浮遊島の冒険
「食らえっ! 誘導ミサイル(魔法弾)!」
僕がコンソールを操作すると、車体の上部に展開された魔法陣から、光の矢が無数に放たれた。
それらは意思を持つかのように空を駆け、迫り来るワイバーンたちを次々と撃ち落としていく。
「すげぇ! 百発百中じゃねぇか!」
「わらわの自動追尾術式と、ナビの計算能力の賜物じゃな!」
ルナとソフィアが歓声を上げる。
キャンピングカーは敵の火球をバレルロールで回避し、そのまま浮遊島へと突っ込んだ。
「着陸するぞ! 衝撃に備えろ!」
ズザザザザッ!
タイヤが荒れた岩肌を削り、砂煙を上げて停車する。
なんとか無事に上陸できたようだ。
「ふぅ……。酔うかと思った」
セリスが青い顔で胸を押さえている。
ごめん、ちょっと張り切りすぎたかもしれない。
「ここが浮遊島……。変な感じだな」
車を降りると、フワリと身体が軽くなるのを感じた。
重力が地上の半分くらいしかないようだ。
ララなどは、一歩跳ねるだけで数メートルも飛び上がっている。
「たーのしー! 空を飛んでるみたい!」
「こらララ、あまり離れるなよ。落ちたら洒落にならんぞ」
僕たちはソフィアを先頭に、島の奥へと進んだ。
目指すは、島の中央にある洞窟。そこに『天空の輝石』があるらしい。
「……気をつけて。魔物の気配がする」
ルナが短剣を構える。
岩陰から現れたのは、空中に浮遊するクラゲのような魔物や、岩石でできたゴーレムたちだ。
だが、今の僕たちには頼もしい味方がいる。
「邪魔じゃ!」
ソフィアが杖を一振りすると、突風が巻き起こり、魔物たちをまとめて吹き飛ばした。
さすが大賢者。レベルが違う。
洞窟の最深部に辿り着くと、そこには幻想的な光景が広がっていた。
天井一面に、青白く輝く結晶がびっしりと生えているのだ。
「おおっ! これが天空の輝石か!」
「うむ。これだけの純度なら申し分ない。……だが」
ソフィアは結晶の一つを採取し、難しい顔をした。
「どうした?」
「思ったより硬度が高い。これを加工して解呪の術式に組み込むには、少し時間がかかりそうじゃ」
「どれくらい?」
「丸一日は必要じゃな。その間、わらわは儀式に集中せねばならん。無防備になる」
一日か。
ここは敵地(魔物の巣窟)だ。
しかも、儀式の光は魔物を引き寄せる性質があるらしい。
「つまり、ソフィが儀式をしている間、僕たちが守り抜けばいいんだな?」
「うむ。……できるか?」
ソフィアが試すような目で僕を見る。
僕はニヤリと笑って、親指を立てた。
「任せろ。防衛戦なら、僕の『家』の真骨頂だ」
僕たちは輝石を採取し、急いで賢者の塔へと戻ることにした。
そこで待ち受ける激戦の予感を、ひしひしと感じながら。




