第028話: 古代水路の謎
夜の帳が下りた頃、僕たちは街の外れにある荒野に来ていた。
ルナの情報によれば、この辺りに古代水路への入り口があるはずだ。
「ララ、どうだ?」
「しっ! ……静かにしてくれ」
ララが地面に耳を押し当て、真剣な表情で目を閉じている。
大きな耳がピクピクと動き、地中の微かな音を拾っているようだ。
僕たちは息を潜めて見守る。
「……聞こえる。水の音だ」
「本当か!?」
「ああ。でも、すごく深いぞ。ここからずっと下だ」
ララが指差した場所は、ただの砂地に見える。
だが、彼女の感覚を疑う理由はない。
「よし、ポチ。ここを掘ってくれ」
「わふっ!」
ポチが前足を変形させ、ドリルのように回転させながら地面を掘り進める。
ものすごい勢いで砂が掻き出され、あっという間に人が通れるほどの穴が開いた。
「すごい……。ポチちゃん、働き者ですね」
「便利な犬だな、おい」
ポチが掘り進むこと数分。
ガキンッ! という硬い音が響いた。
石畳だ。
「ビンゴだ。降りてみよう」
僕たちはロープを使って穴の底へと降りた。
そこには、古びた石造りの通路が広がっていた。
空気はひんやりとしていて、湿り気を帯びている。
「ホタル、照明を頼む」
ホタルが淡い光を放ちながら先行する。
壁には見たこともない文字や壁画が刻まれており、ここがかなり古い時代の遺跡であることを物語っていた。
「これが古代水路……。確かに、水の流れる音がします」
「でも、水量は少ないな。チョロチョロって感じだ」
ルナの言う通り、足元の水路には僅かな水しか流れていない。
これでは街の水不足を解消するには程遠い。
「上流で何かが詰まっているのかもしれない。行ってみよう」
僕たちは水音を頼りに、奥へと進んでいった。
途中、崩れかけた場所や罠のような仕掛けもあったが、ルナの盗賊スキルとポチのセンサーのおかげで難なく突破できた。
「……ん? なんか変だぞ」
先頭を歩いていたララが、耳をピクピクと動かした。
「土の臭いが強くなってきた。それに……奥から凄い魔力を感じる」
その言葉と同時に、奥の闇から低い唸り声が響いてきた。
どうやら、この水路には先客がいるらしい。
僕はスマート・キーを構え、警戒レベルを引き上げた。




