第025話: 氷の魔法使い?
水浴びの後、僕たちは村の広場に集まっていた。
村人たちが興味津々で僕たち(とキャンピングカー)を囲んでいる。
「神様、何かすごい魔法を見せてくれよ!」
ララが無邪気にせがむ。
それに同調するように、子供たちも「見せてー!」と声を上げた。
さて、どうしようか。
派手な攻撃魔法なんて使えないし……。
「……そうだ。みんな、ちょっと待ってて」
僕はキッチンに戻り、ネットスーパーであるものを購入した。
業務用のかき氷機と、大量の氷だ。
「よし、いくよ!」
ガリガリガリガリ……!
ハンドルを回すと、氷が削られて白い雪のように降り注ぐ。
それを見た村人たちが、一斉にどよめいた。
「ゆ、雪だ! 砂漠に雪が降ったぞ!」
「なんてことだ……! これは奇跡だ!」
さらに、削った氷に色とりどりのシロップをかける。
赤、緑、青。
「はい、どうぞ。冷たくて美味しいよ」
子供たちに手渡すと、彼らは恐る恐る口に運び……そして目を輝かせた。
「あまーい! つめたーい!」
「口の中で溶けちゃう!」
その反応を見て、大人たちも次々と手を伸ばす。
あっという間に大行列ができた。
「おお……この冷たさ、まさに神の恵み……」
「生き返るようだ……」
長老が震える手でかき氷を掲げ、高らかに宣言した。
「皆の者、頭が高い! このお方は、伝説の『氷の大魔法使い』様の再来じゃ!」
「「「おおおーーーっ!!!」」」
「えっ、いや、違いますって!」
否定しようとしたが、熱狂する村人たちの声にかき消された。
ララも「やっぱり神様だったんだ!」とドヤ顔をしている。
セリスとルナは、そんな僕を見て苦笑していた。
「ふふっ、ユウ様。もう諦めて受け入れた方がいいですよ」
「そうそう。タダで飯も食えるし、悪い話じゃねぇだろ?」
結局、その日は夜遅くまでかき氷パーティーが続いた。
僕の腕は筋肉痛になったが、みんなの笑顔が見られたから、まあ良しとしよう。
翌朝。
僕たちは村人たちに見送られ、次の目的地である交易都市ササンドラへと出発した。
ララも「案内する!」と言って、当然のように車に乗り込んできた。
どうやら、彼女も旅についてくる気満々のようだ。
「次はもっとすごい街だぞ! 楽しみにしててくれよな、神様!」
ララの笑顔に、僕は「神様じゃないってば」と小さく呟きながら、アクセルを踏み込んだ。




