第024話: 隠れオアシス
「神様! あっちだ! あの岩山の向こうに村がある!」
ララが助手席で尻尾を振りながら指差す。
彼女の案内で進むこと数時間。
岩山の陰に、信じられない光景が広がっていた。
「うわぁ……綺麗……」
そこには、透き通った青い水を湛える泉と、その周りに広がる緑の木々があった。
『隠れオアシス』。
地図には載っていない、砂漠の民の楽園だ。
「おーい! みんなー! 神様を連れてきたぞー!」
ララが車から飛び出し、村人たちに呼びかける。
最初は巨大な鉄の箱に警戒していた村人たちも、ララの話を聞くと一転して歓迎ムードになった。
特に、僕がネットスーパーで出した冷たい水と果物を振る舞うと、長老までもが涙を流して拝み始めた。
「おお……水の神の使いよ……。よくぞお越しくださいました」
「あ、いえ、ただの旅人ですけど……」
訂正するのはもう諦めた。
とりあえず、村の客人として滞在を許可された僕たちは、早速オアシスの泉で汗を流すことにした。
「ユウ様、見てください! 水着に着替えました!」
更衣室から出てきたセリスが、恥ずかしそうに、でも嬉しそうにくるりと回る。
彼女が着ているのは、清楚な白のワンピース水着だ。
白い肌と銀髪によく似合っている。
「似合ってるよ、セリス。……ルナも」
「ふん、こんな布切れ一枚で……落ち着かねぇな」
ルナは黒のビキニタイプだ。
引き締まった健康的な肢体が眩しい。
二人とも、ネットスーパーで買った最新のデザインだ。
「さあ、泳ぎましょう!」
セリスが子供のようにはしゃいで泉に飛び込む。
バシャーン! と水しぶきが上がり、彼女の笑顔が弾けた。
「気持ちいいです〜! ユウ様も早く!」
「ああ、今行くよ」
僕も海パン一丁になって泉に入った。
冷たくて気持ちいい。
砂漠の真ん中でこんな贅沢ができるなんて、最高だ。
「神様も泳ぐのか? なら、競争だ!」
ララも服のまま飛び込んできて、犬かき(狐かき?)で猛スピードで泳ぎ回る。
ルナも「負けてられるか!」と対抗して泳ぎ出した。
「ふふっ、賑やかですね」
「そうだね。……ここが砂漠だってことを忘れそうだよ」
僕とセリスは浮き輪にプカプカと浮かびながら、青い空を見上げた。
過酷な旅の合間の、束の間の休息。
この時間がずっと続けばいいのに。
そう思えるほど、平和で幸せな時間だった。




