SS: 観測記録:地下水道の攻防(ナビ視点)
**ログ ID**: 00218
**対象**: 地下水道掃討作戦
**場所**: ベルン地下
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今回の作戦におけるマスターの行動は、評価に値する。
特に『スマート・キー』と『ポチ』の連携運用は、シミュレーション通りの効率を発揮した。
『マスター、右前方より敵性反応。ネズミ型魔獣、数 12』
「ポチ、一掃しろ!」
マスターの指示を受け、ポチ(警備用ドローン・改)が迎撃を開始。
非殺傷ゴム弾による精密射撃。命中率 98.5%。
素晴らしい。私の設計に狂いはない。
しかし、問題はその後だ。
「うわっ、汚水が跳ねた!」
『警告。結界強度を上げてください。衣服への付着を防ぎます』
「頼むよナビ! 絶対に汚したくないんだ!」
マスターは戦闘そのものより、衛生面を極端に気にしていた。
まあ、理解はできる。
この地下水道の衛生レベルは最悪だ。細菌、ウイルス、悪臭のデパートと言っていい。
だが、そのために魔力を浪費するのはいかがなものか。
『マスター、結界維持による魔力消費が増大しています。残量注意』
「いいから! 清潔第一!」
結果として、作戦終了時のマスターの魔力残量は 30%まで低下していた。
戦闘による消費が 10%、結界維持(主に防臭・防汚)による消費が 60%である。
……優先順位がおかしい。
さらに、最奥でのセリス嬢による浄化魔法。
あれは規格外だった。
マスターからの魔力供給があったとはいえ、一瞬で地下全域を浄化するとは。
おかげで私のセンサーが一時的にホワイトアウトした。
『やれやれ……。世話の焼ける主たちです』
だが、彼らが無傷で帰還できたことは喜ばしい。
私の使命は、マスターの快適な旅をサポートすること。
その意味では、今回の作戦も「成功」と言えるだろう。
……帰ったら、念入りに車体の洗浄を行わなければ。




