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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第019話: 聖女の奇跡

「グオォォォッ……!」


ヘドロの魔物『カース・スライム』が、汚水を撒き散らしながら襲いかかってくる。

その一撃は重く、触れた場所から腐食させる猛毒を含んでいた。


「ポチ、防御!」

「わふっ!」


ポチが瞬時に前に飛び出し、青白い障壁を展開する。

汚水の直撃を受けても、ポチの超合金ボディと障壁はびくともしない。

その隙に、僕はスマート・キーを構えた。


「そこだ……!」


魔物の体内で蠢く、赤黒いコアに照準を合わせる。

指輪から放たれた高出力レーザーが、闇を切り裂いて核を貫いた。


「ギャァァァッ……!」


核を破壊された魔物は、断末魔と共にドロドロと溶けて汚水へと還っていった。


「ば、馬鹿な……! 我々の最高傑作が、こんなあっさりと……!」


ローブの男たちが腰を抜かす。

彼らは呪術の専門家であって、戦闘に関しては素人同然だったらしい。

ルナがナイフを突きつけ、彼らを拘束する。


「さて、これで終わりか?」

「いえ、まだです」


セリスが祭壇へと歩み寄る。

そこにある紫色の水晶からは、未だに禍々しい瘴気が溢れ出していた。

これが呪いの発生源だ。

魔物を倒しても、この水晶がある限り呪いは止まらない。


「これを破壊すれば……!」

「待て、小娘! その水晶には膨大な呪いが溜まっている! 下手に触れれば、この街ごと汚染されるぞ!」


男の一人が叫ぶ。

脅しではないだろう。水晶からは、肌がヒリつくほどの悪意を感じる。

物理的な破壊は危険すぎる。


「……なら、浄化するしかありません」

「セリス、まさか……」

「ユウ様。私のワガママを、許してください」


セリスは僕に微笑みかけると、水晶に両手をかざした。

フードを脱ぎ捨てる。

その下から現れたのは、銀色の髪と、透き通るような白い肌。

そして、聖なる魔力。


「あれは……まさか、聖女!?」

「追放されたはずの『偽聖女』か!?」


男たちが驚愕する中、セリスは静かに祈りを捧げた。


「聖なる光よ、穢れし闇を祓いたまえ。全ての痛みを、苦しみを、私が引き受けます――『聖域展開サンクチュアリ』!」


カッッッ!!


目も眩むような光が、地下水道を満たした。

それは温かく、優しい光だった。

光は水晶を包み込み、そのどす黒い瘴気を瞬く間に消し去っていく。

それだけではない。

光は地下水道を駆け抜け、地上のスラム街へ、そして子供たちの元へと届いたはずだ。


「ぐ、うぅっ……!」


その代償として、セリスの体に黒い紋様が浮かび上がる。

呪いの逆流だ。

彼女は自分の体をフィルターにして、呪いを濾過しているのだ。


「セリス!」

「大丈夫……です。これくらい……!」


彼女は倒れそうになる体を必死に支えている。

僕は駆け寄り、彼女を抱き留めた。


「ユウ様……」

「無茶をするな。……ナビ、サポートだ! セリスの負担を肩代わりしろ!」


『了解。スマート・キーの魔力供給ラインを接続。マスターの魔力を変換し、対象へ譲渡します』


僕の体から魔力が抜けていく感覚。

それがセリスへと流れ込み、彼女の聖なる光を増幅させる。


「あぁ……温かい……」


光がさらに強まり、ついに水晶がパリンと音を立てて砕け散った。

同時に、地下水道の淀んだ空気が一掃される。

呪いは完全に消滅したのだ。


「やった……」


セリスが力なく微笑み、僕の腕の中で意識を失った。

その寝顔は、安らかだった。


「……へっ、とんでもねぇ聖女様だな」


ルナが呆れたように、しかしどこか誇らしげに呟いた。

こうして、スラムを襲った呪いの事件は、聖女の奇跡によって幕を閉じたのだった。


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