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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第016話: スラムの子供たち

屋台での稼ぎを分配した後、ルナが少し言いにくそうに切り出した。


「あのさ、ユウ。……ちょっと付き合って欲しい場所があるんだけど」

「付き合うって、どこへ?」

「……私の実家みたいなもんだ」


ルナに連れられてやってきたのは、街の北側にあるスラム街だった。

華やかな大通りとは打って変わり、ボロボロの建物が並び、空気も淀んでいる。

ポチが警戒して低く唸る中、僕たちは一軒の古びた教会の前に到着した。


「ここは?」

「私が育った孤児院だ。……おーい、ババア! 生きてるかー!」


ルナが乱暴に扉を開ける。

中から出てきたのは、優しそうな初老のシスターだった。


「あらあら、ルナじゃないの。また悪さをして逃げ帰ってきたの?」

「ちげーよ! 今日は稼ぎを持ってきたんだよ。ほら!」


ルナは懐からお金の入った袋を取り出し、シスターに押し付けた。

屋台の売上と、クエストの報酬。彼女の取り分ほぼ全額だ。


「まあ……こんなにたくさん。無理をしたんじゃないの?」

「うるせぇな。子供たちに美味いもんでも食わせてやれよ。……あいつら、元気か?」


ルナが奥の部屋を覗き込む。

しかし、いつもなら飛び出してくるはずの子供たちの声が聞こえない。


「それがね……」


シスターの表情が曇る。

案内された部屋には、十数人の子供たちがベッドに横たわっていた。

みんな顔色が悪く、苦しそうに呼吸をしている。


「これは……病気ですか?」

「ええ。数日前から急に高熱を出して……。薬師に見せても原因が分からないの」


セリスが子供の一人に駆け寄り、額に手を当てる。

その瞬間、彼女の顔色が変わった。


「……違います。これは病気ではありません」

「えっ?」

「『呪い』です。それも、かなり悪質な……」


セリスの言葉に、部屋の空気が凍りつく。

呪い。

自然発生するものではない。誰かが意図的にかけたものだ。


「呪いだと!? 誰がこんなガキ共に……!」

「分かりません。ですが、このままでは命に関わります」


セリスは真剣な表情で僕を見た。


「ユウ様、お願いします。私に治療をさせてください」

「もちろん構わないけど、大丈夫かい? ここで力を使えば、君が聖女だとバレるかもしれない」

「構いません。目の前で苦しんでいる子供たちを見捨てるなんて、私にはできません!」


その瞳には、強い意志が宿っていた。

僕は頷き、ルナとシスターに目配せをした。


「分かった。僕たちが周囲を警戒する。……ルナ、いいか?」

「当たり前だ! 私の家族に手を出したクソ野郎は、絶対に許さねぇ!」


ルナが拳を握りしめる。

セリスは静かに祈りを捧げ、子供たちの体に手をかざした。


「聖なる光よ、邪悪な闇を祓いたまえ――『解呪ディスペル』!」


淡い光が部屋を満たす。

しかし、子供たちの顔色は少し良くなったものの、完全には回復しなかった。


「……くっ、根が深いです。この呪い、どこかから継続的に供給されています」

「供給? つまり、発信源があるってことか?」

「はい。この近くに、呪いを撒き散らす『何か』があります」


僕とルナは顔を見合わせた。

スラム街に呪いを撒く何者か。

ただの嫌がらせにしては手が込みすぎている。

これは、もっと大きな悪意の予兆かもしれない。


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