表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/140

第109話: 巨大炊き出しと白米の力

 拠点に迎え入れた流民の数は、ざっと五十名ほど。

 長らくまともな食事をとっていなかった彼らは、疲労困憊で座り込んでしまっている。


「まずは何より、温かくて腹にたまるメシが必要だな」


 僕はキャンピングカーのキッチン機能と、新設したばかりの野外厨房をフル稼働させることにした。

 用意するのは、ゲンサイ様から頂いた大量の「米」。

 そして、ネットスーパーで購入した豚肉や根菜、たっぷりの「味噌」を使った、特製・豚汁定食だ。


「セリス、ルナ! 野菜のカットを頼めるか? ララはポチ丸と一緒に、薪の調達をお願い!」

「はいっ! お任せください!」

「任せな! アタシのナイフ捌きを見せてやるよ!」

「わーい! ポチ、いっくよー!」


 仲間たちが手分けして作業に取りかかる。

 僕は巨大な寸胴鍋に湧かしたお湯へ、出汁をしっかりと取りながら、切られた具材を次々と放り込んでいく。


「ユ、ユウ殿。なんと馥郁ふくいくたる香りでしょう。この味噌という調味料、ヤマトの物とは少し風味が異なるような……?」


 カエデが、鍋から立ち上る匂いに魅了されるように近づいてきた。

 それもそのはず。僕が使っているのは、ネットスーパーで取り寄せた現代日本の極上合わせ味噌だ。キャンピングカーの『時短発酵機能』を通して旨味を限界まで引き出してある。


「さあ、炊きあがったぞ!」


 同時に、特大の羽釜(キャンピングカーの調理設備で生成)の蓋を開ける。

 ブワァァァッ! と白い蒸気が舞い上がり、炊き立ての白米がキラキラと真珠のように輝いていた。

 ヤマトで手に入れた米の品質も最高だが、キャンピングカーの『究極の炊飯アルゴリズム』によって、一粒一粒が完璧な状態に仕上がっている。


「お待たせしました! 豚汁と塩むすびのセットです! おかわりはいくらでもあるから、ゆっくり食べてね」


 木のお椀にたっぷりの豚汁と、僕とセリスたちで握った特大の塩むすびを、流民の皆さんに配っていく。


「こ、こんな美味そうなものを……我々などに……」


 老人が震える手でおにぎりを一口かじる。

 その直後、老人の目が見開かれ、ボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。


「う……うまい……!! なんだこの米は! 一粒一粒が立って、噛むほどに甘みが増して……! そしてこの汁物! 野菜と肉の旨味が、全身に染み渡るようだ……!!」

「本当だ……! お母さん、これ、すっごく美味しいよぉ!」

「あああ……生き返る……! 俺、生きてて良かった……!!」


 静かだった広場が、突如として歓声と号泣の渦に包まれた。

 ただの塩むすびと豚汁。だが、極限までお腹を空かせた彼らにとって、それは文字通り命を繋ぐ神の食事に思えたのだろう。


「ゆっくり食べて。まだたくさんあるからね」


 次々とおかわりを求める人々の笑顔を見ながら、僕も少し温かい気持ちになった。

 現代日本の料理チート、大成功だ。


 その時だった。

 村の入り口付近に、見慣れない影が一つ、フラフラと近づいてくるのに気付いたのは。


「ん……? 豚汁の匂いに誘われて、さらに集まってきたのかな?」


 しかし、その影は流民とは少し様子が違った。

 ボロボロの着物を着ているが、手には立派な風呂敷包みを抱え、何よりその目が、尋常ではない光を宿して鍋を見つめていた。


「この……圧倒的な出汁の香りは、なんですか……!」


 バタリ、とその少女は力尽きたように倒れ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ