第100話: 東の国にて
事件の後、悪徳家老クロウとその一味が捕縛され、ヤマトの国に久方ぶりの平和が戻った。
僕たちは救国の英雄として、領主の屋敷に招かれ、国を挙げての盛大な宴が催された。
三日三晩続いた宴では、寿司、天ぷら、すき焼きと、僕の記憶にある和食のオンパレードで、舌も胃袋も限界まで満たされた。
「これが約束の報酬だ。受け取ってくれ」
領主ゲンサイが指差した先には、山のように積まれた米俵があった。
そして、樽に入った最高級の味噌と醤油、さらには『幻の銘酒・大吟醸』まで。
もちろん、金銀財宝も用意されていたが、僕の目には食材の方が輝いて見えた。
「素晴らしい……! これで一生食うに困らないぞ!」
僕は感涙にむせびながら米俵に抱きついた。
異世界に来てからの食生活の悩みが、これで一気に解決する。これぞ日本人の宝だ。
「ユウ、わらわはこの国が気に入ったぞ。陰陽術とやら、魔法とは異なる理論で構築されておる。非常に興味深い」
「アタシもだよ。ここの料理は最高だねぇ。特にこの刺身ってやつ、酒が進んでたまらない!」
「ララもー! お団子おいしいー! あんこー!」
どうやら、みんなも東の国をすっかり気に入ったようだ。
ソフィアは書庫に入り浸り、ルナは居酒屋を巡り、ララは和菓子屋の常連になっている。
「あの……もしよろしければ、もう少し滞在していきませんか?」
宴の席で、カエデが頬を染めながら提案してくれた。
「屋敷の離れを自由に使ってください。……その、また色々な話を聞かせてほしいのです。外の世界のこと、貴方たちの冒険のこと……」
「もちろん! 喜んで!」
僕たちは即答した。
こうして、僕たちはしばらくの間、このヤマトの国を拠点に活動することに決めた。
長い旅の疲れを癒やし、新たな文化を学び、そして美味しいご飯を食べる。
最高のバカンスになりそうだ。
「さて、明日は何を食べようかな」
「天ぷらじゃ! わらわは天ぷらが食いたい! 海老のやつじゃ!」
「寿司もいいよね! 今度はマグロづくしで!」
「ララはお好み焼きー!」
『マスター。体重増加の傾向が見られます。トレーニングメニューを更新しました』
「聞こえない聞こえない」
キャンピングカーの周りで、仲間たちの笑い声が響く。
東の海を越え、たどり着いた新天地『黄金の国ヤマト』。
僕たちの冒険は、まだまだ終わらない。世界は広く、美味しいものは尽きないのだから。
でも、ひとまずはここで一区切り。
美味しいご飯と温泉、そして温かい人々に囲まれて、しばしの休息といこう。




