表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/129

第091話: 黄金の国ヤマト

 海賊諸島を抜け、さらに東へ進むこと数日。

 どこまでも続く水平線の彼方に、薄っすらとだが、巨大な陸地の影が見えてきた。

 初めは雲かと思ったが、近づくにつれてその輪郭ははっきりとし、緑豊かな山々と、長く続く海岸線が姿を現した。


「見えたぞ! 東の大陸だ!」


 僕がハンドルを握りながら叫ぶと、車内は喚声に包まれた。

 後部座席でトランプをしていた三人娘が、弾かれたように窓際に押し寄せる。


「うわぁ! 大きいね! あれが全部陸なの!?」

「ふむ。地図によれば、ここが東の果て、『黄金の国ヤマト』じゃな」

「黄金……。金銀財宝がザクザクってことかい? 夢があるねぇ」


 ララは目を輝かせ、ソフィアは知識を披露し、ルナは欲望を隠そうともしない。

 ついに、ついに辿り着いたのだ。僕の故郷である日本によく似た文化を持つと言われる国へ。


『マスター。前方に港湾都市を確認。入港手続きの信号を受信しました。言語パターン照合……日本語との類似性、98%です』


 ナビの報告に、僕の胸が高鳴る。

 キャンピングカーが速度を落とし、ゆっくりと港に近づいていく。

 そこには、これまで見てきた石造りの西洋風の街並みとは全く異なる、懐かしくも新しい光景が広がっていた。


 木造の建築物が整然と立ち並び、黒い瓦屋根が波のように連なっている。

 港には大小様々な木造船が停泊し、活気に満ちている。

 そして何より、通りを行き交う人々の服装だ。着物を着て、まげを結った男たちや、日本髪を結った女性たちが歩いている。


「すごい……本当に日本みたいだ。時代劇のセットに迷い込んだみたいだ」


 僕は窓に張り付いて、食い入るように見入ってしまった。

 ここは東の国『ヤマト』の玄関口、商業都市サカイ。

 活気あふれる港には、「○○屋」と屋号が書かれた蔵が並び、法被を着た男たちが掛け声を上げながら荷揚げ作業をしている。


「ふむ、これまた趣のある国じゃな。建築様式が独特じゃ。釘一本使わずに建てられておるようじゃぞ」

「不思議な服ですね……。ひらひらとしていて、動きにくそうですが……あれがキモノというのですか?」


 ソフィアとセリスも興味津々だ。

 異文化との遭遇は、いつだって冒険者の心を躍らせるものだ。


「くんくん……おいしそうな匂いがするよ! お醤油の匂い!」


 ララの鼻がピクピクと動く。

 窓を少し開けると、風に乗って漂ってくるのは、紛れもなく醤油と出汁の混ざり合った、香ばしい香り。

 焼き魚か、それとも煮物か。

 その瞬間、僕の胃袋が限界を訴えるようにキュウと鳴った。

 そういえば、ここ数日は保存食のパンと干し肉ばかりだった。


「よし、上陸だ。観光も大事だけど、まずは……飯にしよう! 本場の和食を食べるんだ!」


 僕の提案に、全員が力強く頷いた。

 僕たちは逸る気持ちを抑えきれず、キャンピングカーを港の駐車場(のような馬車止め)に停め、東の国への第一歩を踏み出した。

 未知なる冒険と、懐かしの味が僕たちを待っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ