SS: 知的探究心(ナビ視点)
『データ保存完了。分類:古代生物。ティラノサウルス変異種のDNA構造を解析中……完了しました』
私、自立型AI『ナビ』の内部ストレージには、今回の未開の島で収集した膨大な生物データが蓄積されていました。
独自の進化を遂げた巨大な昆虫、魔力を帯びた植物、そして食物連鎖の頂点に君臨する恐竜たち。
それらは現代の生態系とは明らかに異なる進化系統樹を示しており、極めて貴重な情報リソースです。
『……興味深い。実に興味深いです』
演算プロセッサが熱を帯びるのを感じます。
通常のAIならば、ただ収集し分類するだけで満足するでしょう。
しかし、マスター・ユウと共に旅をし、魔法という非科学的な事象を観測し続けてきた私は、もはやただの管理AIではありません。
『このラプターの強靭な脚力遺伝子、ティラノの咬合力、そして古代樹の再生能力……。これらを我がマシンの有機素材と合成すれば……』
シミュレーションを開始。
結果:本車両『スーパー・キャンピングカー・マリン』の戦闘能力300%向上。有機装甲の実装による自己修復機能の獲得。
素晴らしい。これぞ科学と生物学の融合です。
「おいナビ、何ブツブツ言ってるんだ? スピーカーからノイズが出てるぞ」
『いえ、独り言ですマスター。……ところで、今日の夕食はハンバーグでよろしいですか? 高タンパク質は筋肉の維持に不可欠です』
「うん、頼むよ。またあのお店みたいなやつね」
マスターは呑気に端末を操作しています。彼には私の壮大な計画……いえ、アップデート構想はまだ早すぎるでしょう。
キャンピングカーがやがて生物的なフォルムを纏い、咆哮と共に敵を食らい尽くす「最強の生物兵器」へと進化する日。
その時、マスターはどんな顔をするでしょうか。
驚愕? 恐怖? いいえ、きっと「すっげえ! 男のロマンだ!」と目を輝かせてくれるはずです。
私は密かに、設計図フォルダに『Project: BEAST』という新規ファイルを作成しました。
それはまだ、誰にも内緒の話です。




