エピローグ
人類は、さまざまな天災により、故郷を空に求め浮遊大陸を発見し、空中文明を築いた。
だが、戦争の火種はいつもくすぶり続けていた。
世界は正統王国、帝国、同盟、フェンメルの四大勢力によって統治され、もはや一世紀以上が経過した。
そして、時代は変化を求めた。
そのような時代に翻弄されるともしらない、二人の若者がいた。フラーゼ・フォン・クロイツェル、エルンスト・フォーゲルである。
フラーゼは帝国第三航空艦隊司令を務めており、初の女性艦隊司令でしかも三十歳という若さであった。彼女は、身長が百八十三センチもあり、他者を圧倒した。
彼女は白銀の長髪の持ち主で、冷たい瞳に情はなく、美しさは刃のように鋭い。部下には公平に接し、艦隊戦術の腕は右に出るものはいないと言われるほどだった。
エルンスト・フォーゲルは、帝国ベール回廊兵站部、補給部長を二十六歳で任命された。
彼は、小柄で華奢な体つきであった。笑顔は人畜無害に見える。笑顔で毒を吐いた。愛嬌は仮面で無知への毒を包むといったところだろうか。
彼らは、いつ終わるかわからないが、日常となった「反乱軍」の殲滅にいそしんでいた……