未完の笑みを鏡に映す
(短歌十首)
ワイシャツを壁際に吊り明るめのライトブルーの壁紙をみて
愛を乞う姿に意味はないだろうお金に意味がない世界では
神さまが在籍しない海の上どこまでも飛ぶトビウオの目よ
この写真ふたりで笑う君の目の中に微かに映る死神
振り絞る声は木霊と成り帰る絶望みたいな苦い絶叫
音信が不通になって二年経つなぁ風に乗り帰って来ないか
ある夜に小蛇がイブにキスをして過去を燃やして脱皮を始めた
犬が吠え嫌いをアピールするような未完の笑みを鏡に映す
花は咲き花は乱れて花は枯れ花の姿をアースに還す
人の身の煩わしさが少年のころみた夕焼け色を血とする