溢れる愛
予約してあったお店に入り、皆でご飯を食べた。この辺の事も映像に収められ、後々公開される。だから、テツヤとは敢えて離れて座った。シン兄さんやマサト兄さんのアメリカでの面白い話などを聞いて盛り上がり、飲んで、食べた。食事会が終わり、皆で写真を撮ったりして、マネージャーさんも解散。各々宿に送り届けられて今日は終了になる。俺は自宅に帰る事にして、テツヤも俺の家に来る事になった。
ずいぶん久しぶりの東京で、久しぶりの我が家だった。電気が点くのか心配なくらいだったが、無事に電気も点いたし、風呂も沸いた。エアコンも作動した。
「テツヤ、ずいぶん鍛えたんでしょ?どんなもんか見せて。」
荷物を整理しながら、俺はそう言ってテツヤの方を振り返った。
「え?見せて?」
テツヤは驚いた顔をした後、恥ずかしそうに笑った。お酒で顔が赤らんでいる。
「ほら、ほらほら。」
俺は手を止め、テツヤの傍へ歩み寄り、シャツをめくった。
「おぉ、腹筋割れてるじゃん。」
そう言いながら、シャツを脱がせた。
「腕もすごいな。」
そう言って、腕を触った。
「へへ。」
テツヤがやっぱり照れたように笑う。俺はそのまま、胸筋、腹筋を撫でる。テツヤの顔を見ると、うるんだ瞳で俺を見ていた。
「テツヤ……。」
顔に手を添え、唇を重ねた。やっと触れられた。やっと、本当にキスが出来た。
「ん……」
キスは次第に情熱的になっていった。もう、止まらない。体中が目の前の人を求めている。
「レイジ、待って……」
「……どうして?」
「……シャワー」
「ああ……」
とは言ったものの、止まる事は出来ず、そのままテツヤをベッドに押し倒した。洗い立てよりも、汗の匂いがする方が興奮する。それがテツヤのものならば、匂いも何も強烈な方がいい。
割れた腹筋も、膨らんだ胸筋も、すべて舐め尽くす。他の人には触らせる事のないはずの、太ももの内側も、体の中心にある屹立したものも。
「ん……あっ……」
テツヤの口から声が漏れる。更に、愛しい蕾に舌を当てると、
「あっ……!」
1オクターブ高い声が出た。俺はサッとベッドサイドの引き出しから必要な物を取り出し、自分のものに装着した。痛くないように、たっぷりと濡らす。
「レイジ……」
「テツヤ……」
これまで会えなかった分の鬱憤とか、積もり積もった愛情とか、全てを注ぎ込む。他の誰かが入り込む隙間なんてないくらいに。この人は俺の物だと証明するかのように。
ひとしきり愛し合った後、2人でお風呂に入った。ようやくお互いに余裕が生まれる。
「ほんと、頑張って鍛えたんだね。ずいぶん急激に筋肉が付いたよね。」
湯船に浸かりながら、また俺はテツヤの胸筋を触った。更に、二の腕を触る。
「だろ?でもお前。」
俺がテツヤを後ろから抱っこするようにして座っていたが、テツヤがこちらを振り向いた。そして、俺の胸筋をまじまじと見て、二の腕を両手で掴んだ。
「お前には敵わないなぁ。また鍛えたのか?」
俺はニヤニヤしてしまった。テツヤが鍛えていると知り、負けるわけにはいかないと、俺も頑張って鍛えていたのだ。
「ん?まあ、いつも通りだけど?」
「うそだぁ。前よりも腕太くなったじゃん。胸だってほら。」
そう言いながら、テツヤが俺の胸を撫でまわす。そこ、刺激されるとちょっとなんか、変な気分に……。
「あ……ちょっと、何、してんの?」
だんだん息が上がって来た。
「レイジ、今度はじっくりしてやるよ。」
テツヤはそう言うと、俺にキスしてきた。そして、俺を一度立ち上がらせ、バスタブの縁に座らせた。本当だ、本当にテツヤの力が強くなっている。けれども、しゃがんで下から見上げるテツヤは、にっこりしちゃってとっても可愛い。
「なんで、そんなに嬉しそうなの?」
照れながら俺が言うと、
「レイジの感じてるとこ、見たいなーと思って。ビデオ通話の時にも見たけどな。可愛かったなあ、お前のイク時の顔。」
「えっ!」
見てたのか!俺が見ていたつもりだったけど、見られていたのか。俺が衝撃を受けているのもお構いなしに、テツヤは俺の体を撫でまわし、既に立ち上がったモノを口に含んだ。
「あぅ!」
上ずった声が出てしまった。恥ずかしい。テツヤはやっぱりニコニコしながらペロペロしてくる。その可愛い顔で、俺のそんなトコに、そんなコトして……もう、ダメ。
「うわ、あぁ……」
思わずのけぞった俺。
「もう……。今度はこっちの番だ。」
俺はそう言い、今度はテツヤをバスタブの縁に座らせる。
「何、そのギラギラした目は。」
「テツヤ、顔が赤い。」
「のぼせたんだよぉ、今まで湯船に浸かってたからぁ。」
既にペロペロ始めた俺のせいで、テツヤの言葉の語尾が伸びている。
「さっきしてもらったじゃんかぁ、もういいってえ。」
「そんなにしてないよ。さっきは余裕がなかったからね。今度はもっともっと、ゆっくり可愛がってあげる。」
「くっ、レイジ……」
ほら、もう息が上がっている。そして、今度は後ろの方もじっくりと責める。
「ひぁ、ダメだってえ、そこは……」
それ以後は、言葉にならない声を出し続けるテツヤ。あまりに刺激的なテツヤの姿に、俺はまた余裕がなくなり、そのまま第2ラウンドに突入したのだった。自分の家はいい。風呂も広いし。多少声を出しても人に聞かれないし。
「今後、そのスタイルで行くの?」
ベッドに2人で横たわりながら、俺は聞いた。
「そのスタイルって?坊主頭の事か?」
お互い、坊主頭と言うには少し長すぎるくらいにてっぺんが伸びていた。
「それもそうだけど、筋肉とか。」
俺は気になる。カッコいいテツヤもいいけれど、やっぱり花のように美しいテツヤがいい。そうでないと、俺も増々鍛えなきゃならないし。
「もう兵士役終わったもんな。これを維持するのは大変だから。また元に戻ると思うよ。」
言って、あははと笑うテツヤ。うん、それでいい。という事は、この貴重な姿を目に焼き付けておかないと。いや、目ではないな。手だな。という事で、俺はまたテツヤの腕や胸を触った。
「何?また触るの?」
テツヤが笑う。
「だって、これはこれで貴重だなと思って。」
そしてまた、繰り返す俺たち。第3ラウンドへと……。