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例の アレ


始まりは普段通りのヘラクレスさんとのゲーム談義から始まった。


「安井よ、次の試練について考えていることがあるのだが意見を聞いていいか?」


場所はいつも通りの自販機横の喫煙スペースが併設された休憩所。

俺の休憩時間に合わせてヘラクレスさんが相談にくるのは良くある日常とかしていた。


ヘラクレスさんのアイデアは簡単にいうと別売りのダウンロード版の後日エピソードを購入のような話であった

希望者に今までの試練などで稼いだポイントとお金で更に高難易度の試練を販売する。あるいみ廃プレイヤーとなっている一部の挑戦者に別の世界を別売り体験してもらおうという考えである。それにかかる資金などは希望者から募るから、ある意味クラウドファンディングに近いかもしれない。


「良いアイデアとおもいます。ヘラクレスさんは何処でこんなアイデアを思いついたんですか?」


俺はヘラクレスさんにしては意外な考えだと思い尋ねた。

意外というのは高難易度の試練を常に思案しているヘラクレスさんである。その中で廃プレイヤーといえるほどの試練の難易度を求める求道者達に如何にして試練を与え、最終的に自分に厳しい試練を与えることを目標にしている。そこからも試練を与える基本の考えは平等にチャンスを与え報酬もまた平等に機会を与えていると少なくとも俺は感じていた。

そのヘラクレスさんから希望者とはいえ廃プレイヤー達のお金を使って更に高難易度の試練を本人の意思ではあるが、ある意味隔離に近い、それを与えそれに合わせて報酬、つまり更なる力の譲渡の優遇や武器の優遇など差がつくアイデアに僅かに違和感を覚えた。

確かに高難易度の試練を突き詰めていくと落伍者やそこまで求めないものと求道者に差が出てくるのは当然で、そんな人向けの試練を別売りで販売するのはゲームの世界では一般的ではある。


「ふむ実は前に事務所の前でヘルメスに会ったときに話かけてきてな。なんでも創生の方も結果をだしている者など優遇して規模の拡大を目指す経営戦略の大事さを語ってもらったんだ。ヘルメスは、ああみえて商売の神でもあるからな。俺ではお金の稼ぎ方など力仕事でしか思いつかんからな。頭の回る兄弟だ。」


「そうなんですね。ヘルメスさんは経営に強そうですね」


「うむ。その通りだ。」

ヘラクレスさんは上機嫌に頷く。


「高難易度の試練を希望者に与えるのは良いのですがお金を募り支払いしたものだけが試練を受けれるのは後に平等にならないので後で時期をみて解放するのはどうですか?」


「それこそ平等ではないのではないか安井よ。先にお金を払い権利を出張して権利を買ったのに後できたものが無料は虫が良すぎだと思うぞ安井」


「ヘラクレスさんのいう考えも正しいし当然だと思います。ですが先に試練で力を得たものがその場を荒らしてしまうと新規がはいらなくなり不平等が大きくなり、こちらの目的の超越者の数と質の低下を招きかねません。」


「ふむ、安井のいうことも確かにそおかもしれん」

顎に右手をかけ少し思案に耽るヘラクレス


「ところで創生にお金は必要なんですか?」

一番気になるところを聞いていく。世界創生の拡張にお金が必要だとは初耳だからだ。お金が拡張で必要なら求めるものから資金を募り差をつけるのは当然だと思う。ーーしかし、お金、円なのか?それとも金属の金のことを言ってるのだろうか?なんにしても人を使うのも自分が動くのもお金がいるのだから神の世界も世知辛い...。


「お金必要ないぞ」


「えtl!必要ないんですか?」

神の世界も世知辛いと考えていた俺の気持ちを返せ。

お陰で返事がおかしくなった。


「ではなんで、お金を求めるんですか?」


「うむ、分かりやすい代償だから・・」

少し語尾がヘラクレスさんらしくなく弱弱しい

怪しい。


「ヘルメスさんの受け売りですね」


「・・うむ。」


「なんで隠したんですか?」


「すまない。少し安井に賢くみられ褒められたくてな見栄をはった」

ヘラクレスさんが見栄を張る?少しおかしいぞ

「それだけですか?」

俺は疑わしい目で追及する。


「‥‥実はヘルメスに自分のアイデアだということは黙っておいてくれと言われたのでな」


「お金をどう使うつもりだったんですか?」


「求道者達の今は使わない資金を、こちらのお金にかえてヘルメスが運用して運用資金で人を雇うことで俺の自由な時間を創るといわれてな。あと・・・愛する嫁にドレスでも購入してやれといわれてな。その時は皆が喜ぶ、いい話だとおもってな」

やはりかヘラクレスさんの実直で正直なところに目をつけて創生の仕事に介入を考えているようだ


「まあ、いいアイデアなのは認めますが最初の目標にたちかえりながら考えましょう。あとアオ先生もヘラクレスさんが下界で汗水働いてくれたお金のほうが青春を感じてくれますよ。」


「ああ、その通りだ。おれは嫁と自分の試練の本質に立ち返るぞ!!」

ビルのフロアにある自販機の横で大男が雄たけびを挙げているが誰も振り返らない。よくある光景と認識されてるのだろうか

.

.

.

「そういえば安井よ。ヘパイストスから連絡があってな。完成したらしいぞ例のアレ」

落ち着いたヘラクレスさんが帰り際に一言いって去っていった。


アレ


そう神器である。


創生の仕事の管理を人の手に一時的に委ねることができるアイテム


ヘパイストスさんに依頼していた神器が完成したようだ。



◇◇◇◇



後日、

ヘパイストスさんから正式に仕事の依頼があった。


当日会議室3の俺の仕事場にヘパイストスさんとヘラクレスさんと何故かアオ先生、そしてアサガオさんがいた。


「お久しぶりです。ヘパイストスさんとヘラクレスさんと‥アオ先生と、‥‥アサガオさん?」

少し自信なげに最後のアサガオさんの名前を呼ぶ。前に面談をして面接もどきをしたとはいえ名前を正確に覚えてる自信はない。


「はい。アサガオです。先日は面接にて時間をとっていただきありがとうございます」

深々とお辞儀をする。

その所作は美しいが何か冷たい感じがした。

ところでアサガオさんはどこの国の人なのだろうか名前は日本風だが雰囲気がエキゾチックでよく分からない。悪いが多くの書類があり、その時しっかり確認していないので当人に聞きづらく流していた。


「安井さん今日はね。頼まれていた神器を持ってきました。是非意見を聞きたいと思いまして。ぼくが言うのは自画自賛になりますが最高の出来だと考えています。」

ヘパイストスさんが、そういうと机の上には木箱が置かれる。

俺は当然のようにいるヘラクレスさんの嫁さんはともかくアサガオさんがいる事情を知りたくてヘラクレスさんに目線を送る。

その間にヘパイストスさんは今回の神器作成の苦難などを話していた。


「うむ、安井よ、実は今回ヘパイストスが渾身の出来と聞いてな。本来なら我々三人で試してから皆にお披露目と考えたのだがヘパイストスが自信あるのなら先に実際に関わることになる責任者でおるアサガオにも声をかけてみるかと考えてな。‥まあ嫁は、俺と一緒だからな」

ヘラクレスさんが俺の意図を呼んで答えてくれた。

意外とヘラクレスさんはこおいう機微は呼んでくれるので話し易い関係ではある。

どおやら俺のいないところで話は進んでいたらしい。

こちらは仕事ととしてではなく個人的に悪巧みをする関係に近く親しく俺的には思ってるので仕事の場ではなくとも話したいところであるが他の神様との関係を考えると仕事として関わっていかないといけないところがあるため、向こうとしては手順を早めたい意図があるのかもしれない。


「ヘパイストスさん話はそこらへんで今日はどおしましょうか?」

誰も失礼ながら真面目に聞いてないヘパイストスさんの神器の作成秘話を遮ることにした。経験上、ここで止めとかないと話が終わらないからだ。

いや、誰も真面目に聞いてないという話を訂正。

アサガオさんが顔を上気しながらうなづいていた。

考えたらアサガオさんは元?人間、偉大な神の発明の話である。興奮する内容かもしれない。

提案した本人である俺が反応が薄いのが異常なのだろうが仕事である以上時間制限があるため許してほしいとこほである。


「コホン、もう少し語りたいところだけど別の機会にしよう。そおだね。安井さんの求めるモノを超えたという自負はあるのだけど、話すよりも確かめた方が早いね。ヘラクレス頼む」

 

「分かった」

ヘラクレスさんは机においてある木箱を開けると中からサッカーボール並みの地球儀の様な物を取り出す。


「これが世界の調停をする神器。ベェーナスちゃんだ!」


『べェーナスチャンです』

神器が話しかけてくる。


おお〜!

皆から歓声があがる。


地球儀の形なら外郭に二つのリングが廻っている。

どこからか音声が聞こえ話しかけてくる。

道具から話しかけてくることに素直に驚く。

神器は意思を持つとは本当だったんだ、

しかし、ちゃんって、これはチャンまでは正式な名前なのだろうか?それともヘパイストスさんなりのお茶目なのか判断に悩むところである。


『私の役割は世界の管理、調停の補佐と聞いています。今回は皆さんに私が世界の管理をするにあたって更に私は皆様の協力を求めます』


「ヘパイストス、俺は感動している!本当に意思を持つ神器を作成できるのだな」

ヘラクレスさんが感嘆の声をあげる


「凄いわ!意思をもつなんて、意思を持つ神器達を集めたら神器達のアオハルなんてことも可能なのかしら」

ヘーペさんも続けて少し違う方向に感動している

アサガオさんをみると声にもならないようで驚いていた。

小さな吐息を感じて後ろをみると俺は別の意味で驚く、お茶をお盆に乗せた佐藤さんが俺の後ろにいた。

えっ!いつからいたの?みんな気づいてた?


「べェーナスちゃん、良い子だね。うんうん皆んなで助け合っていこうね」

ヘパイストスさんが少し猫撫で声で答える。


「協力とは具体的にどんなことをしたら良いんでしょうか?」

俺はヘパイストスさんに話しかける


『はい。皆さんに求めたいのは基準です』


「基準?」

答えたのはべェーナスちゃんだった。

やはり、かなり賢いようだ


『はい。管理、調停を私の創造主である。父であるヘパイストスに聞きました。では何を基準に管理するのか疑問なのです。協力していただけますか?』


「分かりました」

俺は答える

『他の方はどおでしょうか?』

「俺も良いぞ」

「私も協力するわ」

「父である僕も当然協力しよう」


『残りのお二人方は協力してもらえますか?できる限り多くの方の意見を聞きたいです。是非とも協力をこいたいです』 

べェーナスちゃんは周りの認識は分からないがアサガオさんと佐藤さんにも求めてくる。

2人は無言で頷く


『ありがとうございます。父ヘパイストス、他にも協力を求めても良いですか?』

べェーナスちゃんはこの部屋にいる人と神でも納得いかず他に協力を求めていた。飽くなき探究心なのであろうか?

意思ある神器とはこんなものなのかもしれない


「そおだね。おいおい、みんなから協力してもらおうか」

やはり猫撫で声で答えるヘパイストスさん


『ありがとうございます。協力感謝します。では皆さんに聞きたいのですが、皆が納得する正義とは平等とは、どうすれば良いですか?』


そこから神器であるべェーナスちゃんの質問が続く。

.

.

.


ここから

創造主であるヘパイストスさんはモノを作成するにいたり偉大な神様であり、そんな偉大な神様が渾身の出来と自慢するぐらいの意志ある神器が、どこまでの恐ろしさを持つことを

そして自分の甘い考えからの発言が大きな混沌を生み出したことに後悔することになる。




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