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日誌22


会社勤めである限り通常勤務とは違う業務がある

正しくは断れない任務というべきかもしれない

俺は会社の中では少し特殊な立ち位置になると自覚しているが会社自体が特殊というより唯一無二なぐらいユニークな会社組織なので、そこで所属しているだけで特殊と言っても間違いないだろう。

俺が何を言いいたいかと言うと、そんな唯一無二の会社で特殊な立ち位置でも会社の行事それが社長の意思が動いていると断れない。

そこは普段は自由にやってる俺も逃げれないと言うより普通のサラリーマンが会社の指示に逆らえる訳もなく‥‥。


ということで土曜日社員全員でベースボール球場に来ていた。

会社で年間シートで座席を押さえており会社は本日社員一同お休みでみんな参加となりました。本来なら会社の社員福祉の一環でありがたいところであり楽しく楽しむところなのだが皆緊張が走っている。理由はあった。平良社長から要望が来ているのだ。


「今度の土曜日大神ショウヘイの試合があるの。みんなで楽しんで来て。とてもダイナミックな試合になる予感がするわ。きっとみんなエキサイティングな気分を味わえるわ。普段のストレスを発散してきて頂戴。ーーあと出来たらで良いけど大神ショウヘイのホームランボールをゲットしてきて」


社長からその旨があり社員一同にチケットが配られる。これはこれは興味のベースボールに興味あるなしはあるが会社からの素直なご厚意と本来なら受け取るべきだろう。だが問題は最後の一言である。

ーー出来たらで良いけど、と前振りはあるが社長直々のお言葉、要望である。


会社は軍隊では無いがウチの特殊な会社組織はこの場合、社長のお言葉は要望でわなく下知、いや天命になる。

神様からの文字通り天命と少なくとも佐藤さんは受け取った。‥‥‥のだろう。

そこから会社は上に下に右に左に大混乱となり俺にも指令が下される。

「今度の土曜日安井さんお休みですよね。平良社長が社員一同に年間シート席のチケットを下さりました。

"是非楽しんでね"と言付けを承っております。社長からのご厚意なので私達も応援に行くのですが安井さんも行かれますよね」

なんなのだろう最初に休みを確認された上に社長のご厚意と私達も行くと強調された。お誘いに俺はベースボールにそこまで興味が無いからと断られる選択肢もなく佐藤さんの笑顔の圧に負けることとなる。




◇◇◇



ベースボールの試合当日

ベースボール球場に当日着くと社員一同に大神ショウヘイの背番号が入ったユニフォームを渡されて着せられ、ついでにミットを渡される。

「田中君これは?」

俺は間抜けな質問を前にいた田中君にする

「知らないんですか、ベースボール用のミットですよ安井さん。これでホームランボールをゲットするんですよ。いやぁ楽しみですね。今人気絶好調の大神ショウヘイの大事な一戦を見れるなんて、この会社入って良かったですよね。ねぇ安井さん」

休みの日に、わざわざ会社の皆んなと出かける集団行動が好きでわ無い俺と違い。田中君は素直に喜びイベントを楽しむ構えのようだ。


「田中君ベースボールで使うミットだと言うことは見れば分かるよ。俺はなんで応援に来てミットが必要だと確認したんだ」


「だから安井さん言ったじゃ無いですかホームランボール取るんですよ。安井さん知らないんでしょうが大神ショウヘイのホームランボールはとても価値があるんですよ。もしメモリアルなボールであればウンビャクマンするって言われてるんですよ。僕も会社でいく以上会社に貢献しますよ。しかも今回ホームランボール取れば特別ボーナス出ると先程佐藤さんが言ってました。めちゃくちゃ楽しくなってきましたね」

残念だよ。田中君、君だけは俺の気持ちがわかってくれると思ったのに、まさかここまで単純な子だったとわ。ーー俺が捻くれてるだけかもしれないが

仕方ない。俺もベースボールを球場で観るのわ20年振りだ。休みを潰されたとか会社の行事だとか考えず素直に楽しもうとするか。

その改まった気持ちは球場に入って試合が始まるとすぐに霧散することになる。



◇◇◇



大神ショウヘイ

まだ28歳の若き才能溢れるベースボール選手である

詳しくは無いが彼の登場がベースボールの歴史を変えたと言っても過言でわない存在らしい。

ベースボールは日本においては言わずと知れた国民的スポーツである。

だが、国民的スポーツというのは過去形となっていた

人気がここ20年落ちていて他のスポーツに負け始めていたからである。

理由は色々あると思うが、そんな人気低迷になっていた国民的スポーツを大神ショウヘイは若干18歳の時にプロ入りして全てを変えてしまった。

両親が有名な歌手とスポーツ選手の子供として生まれた大神ショウヘイは小さな時からスポーツと音楽の英才教育を受けてきたとのこと、そんな英才教育と持ち前のルックスと運動神経と美声が合わさった彼はベースボール選手になることを決意する。

しかし彼は人気が落ちたベースボールの現在に落胆する。

落胆した彼がした事は人気を集める為にスターになったのだった。プロになる前から世間に騒がれていた彼は自らの人気をベースボールの復活に繋がる活動を開始する。

有名な歌手である母親の伝手を借りて歌手として本格デビューして試合前に歌い始めたのである。

当初、球団も人寄せパンダ程度に考えていたが今や人気は国民的アイドルと知られる様になった。

勿論歌手デビューなんてしながらの選手活動なんて許されないないと古参ファンの叩きがあったのだが大神ショウヘイは結果で全て叩き伏せた。

なんとベースボール史上初の5年連続ホームラン王となりCDも売り上げは一億枚を超えるという。

今や世界中にファンがいるスターとなっていた。

神に愛された人と良く言われているがヘラ様を知ってる俺からしたら本当に神に愛されてるのだから言葉も出ない状況である

ーーそして今年は過去の偉大な先人の記録更新が近づいているとあり熱気は恐ろしいことになっていた。




「これが大神ショウヘイのライブか凄いな」


「凄いですね。球場全体が盛り上がってます。まだ試合前なのに僕も生で初めて観たんですがスゴイです」

俺の言葉に田中君が同意してスゴイと驚嘆する。球場はドームで本日は満員の五万人が詰めかけていた。

勿論お客の大半が大神ショウヘイのライブと試合での活躍を観たくて文字通り押し寄せてきている。

俺なんか場違い感がマックスである。


球場一杯の観客がみんな各々のアイテムやグッズを持って歌に合わせて振っている。

敵同士のチームファンの方もライブの時は構わずに全力で声援を送っている姿を観ると普段そんな場所に行かない俺は一体感のある雰囲気に呑まれていた。

隣の田中君を観るとミットを左右に振りながら夢中になって声援を送っている。なんて染まりやすいんだろうかと感心しながらも他の会社の人に目を向けて俺は固まる。


俺と田中君以外に佐藤さんを筆頭にした女性社員が6名集まった座席に固まってきているのだが‥‥。

実は離れた席にも何名か社員が別れている。


女性社員の黄色い声援が飛ぶ!

それはいい。

皆んな大神ショウヘイのユニフォームを着てるのは俺も一緒なのだが佐藤さん筆頭に大神LOVEと書いたハチマキを頭に巻き大型ペンライトを複数持って応援している。それも一糸乱れぬ動きである。

その時初めて気付いた側から観ると俺も同じ応援団の一団なんだと場違いかと思ったが俺も一団に溶け込んでいた。というより熱心なファンにしか見えない。



「声が出てないぞ安井!」

「アレスさん、なんでここに?」

後ろから声がして見てみるとアレスさんが同じ服装で

大きな応援団の持つ大旗を持っていた。 


「俺も動員されたんだ。まだまだ会社に借金があるからな」

「‥‥大変ですね」

俺はアレスさんの自業自得であるが心の中にご愁傷様です。と唱える

「それに悪いことだけでわないぞ。なんと今回ホームランボールをゲットすれば借金チャラにしてくれると聞いてな」 


「本当ですか!では狙わないといけませんね」


「母である平良社長は今日はホームランが複数でる予感がすると言ってたから必ず取ってやるぞ」

「アタシも手伝うわ兄様」

「おお期待してるぞアンゲロス」

妹のアンゲロスさんも兄アレスさんを助ける為に来ていた。少し重そうに思うが兄思いの良い妹さんである


「安井この前は約束を守ってくれてありがとう。お礼にアレス兄様に親しくしても許してあげるわ」

アンゲロスさんが俺の耳元で囁く。

どおしてそれが報酬になるのか尋ねたいが君主は危ないとこに近づくものでわないのだ。俺はまた一つ賢くなった。


さて俺はライブで熱気と熱狂の渦が渦巻いてるドーム内を少し見渡してみる。

やはり動員は会社に借金のあるアレスさんだけでわないらしい。

俺やアレスさんはセンター中央の外野観客席の二階席側にいるのだがレフト、ライト側の観客席にも見たことある神様がいる。

おそらく俺の見えないところにもいるのかもしれない


神様達のホームランボール争奪戦が始まった。



大谷翔平大活躍ですね。

それにちなんで女神ヘラ様杯スタート

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