表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/86

日誌15


ーー大会より時間は少し遡り 


俺が相談後のアポロンさんの”お願い”を受けてから数日後。



場所は冥界


ヘスティアさんを通じてハーデスさんに連絡をお願いしていた。

ハーデスさんは本人が言ったように制約が多く、正規の方法などで会ったり連絡する手段がこちらから難しい為、ハーデスさんの姉であるヘスティアさんを通じて面会を頼んでいた。


ーーそして俺とアポロンさんは冥府のハーデスさんに会いに来ていた。


今回は前回の漆黒で統一された部屋ではなく落ち着いたインテリアの部屋に招かれた。


「久しいなアポロン」

いつもと違い落ち着いて態度で部屋に入室してくるハーデスさん。

服装は前と同じく黒い仮面と黒いマントなのだが服装が一般的な王族が着てそうなーー予想に反して奇をてらう服装ではなく正当な服装である。ーーいや、よく見ると仮面もマスクも金の刺繍がところどころ織り込まれて豪奢感が上がっている。間違いなく誰かの影響であると思われる。もしかして嫁さんからの提案かもしれない。だとしたら夫婦仲も上手くいっているのかもしれないので、いい傾向だとおもう。

自分も参考までに時間があればきいてみたいものである。


「ハーデスおじさんご無沙汰しております。冥府での活躍、天界にも勇名鳴り響ております」


「ほう、我が勇名、天界にも轟いておるか」

挨拶での口上の誉め言葉だとおもうがハーデスさんは嬉しそうに顎に手をやり、おおように席に座るのを促してきた。なんにしても気分が良くなってくれたなら出だしは上々である。

「実は今回、頼みたいことがあるんだ…」

アポロンは和やかに話を進めていくなかで頼みごとを切り出すことにした。



ーーしかし


「冥界にはルールがある。神すら破れぬルールがーー死んだ者は生き返らない。そして地上にて会う事は決してできんのだ。それは時の最高神ゼウスであっても同じ。決して破る事はできない!」

先ほどの和やかに話していたハーデスさんとは違い返答はにべもなく断られた。


「そこは分かってるつもりだ。だが一時的に彼の魂の呪縛を放つことは出来ないのか。ーー頼む」

断られるのは当初から想定していたアポロンさんが何度か頼みこむも聞く耳を持たないハーデスさんと同じやり取りを続けている。いくばくかのやり取りの末、会話に熱がこみ上げ、お互い冷静になるため出されていた紅茶にてをかける」


「先ほどから黙っているが安井何を考えている?」

ハーデスさんが先程から終始沈黙を続ける俺に話を振ってきた。正直今回出来れば仲介者という立場以上のことは率先的にしたくない。今回の件はアポロンさんの後悔なのか罪悪感なの本心がわからないがアポロンさんが己の思うがまま動いたうえで後悔なく心の整理をつけれたら良いと思うしその行動の結果、アルテミスさんも前を向けたら最良だと希望を見出したいと考える。ただ、この考えじたい傲慢とも言える


「先にお聞きしたいのですが件の男性の魂は存在してるのでしょうか?」

とりあえず話の話題になっている男性の確認をする。こちらの神様の世界観は良く分からないが俺のイメージでは魂は転生するものなので争点となっている人物を確認しないと話は進まないと冷静にやり取りを聞いて考えていた

「存在している。だが魂があっても、この冥府より出でて生者の世界には赴けんぞ」

すぐに答えられたということは最初からこちらの事情を知っていたのか、それとも冥府の王の権限で調べなくとも聞くだけで分かるのだろうか?おそらく前者だろう。


「少し確認したいのですが、こちらの冥府と人の世界の区切りはどこからなのでしょうか?」

俺は人の身であるが招待されれば冥府に来ることができる。だから境界をお互い再度確認する意味をこめて質問する。


「人が死して来る世界が冥府であり、生きとし生ける者の世界が貴様が思う人の世界だ」

やはり俺の存在は例外の様であるが日本には盆に先祖が帰るなどの習慣もある。つまり世界が違えば習慣、例外、特例があるはずである。


「アポロンさん新しく創生した世界では分かれているのですか?」

俺は話をアポロンさんに振る。


「実は定義はまだない。世界が未熟なため。魂は輪廻していると考えられているが魂の帰る場所は創生の卵ないと考えられているけで、こちらの世界でいう天界、人界、冥界などというものはないね」


「そうなんですね。ありがとうございます世界の事が少し分かりました」


ーーそう世界が違えば、その可能性に今回かけていた。


冥界がないという言葉に思考に耽るハーデスさん

「アポロンよ。今回の頼み事はゼウスの名で新しい世界を創生していてな、その創生世界において今回限りの頼み事だと申してたな」

大事な事を確認するように慎重に問うハーデスさん


「はい。今回限りの僕の世界の一夜限りのことです!」

ハッキリと断言するアポロンさん


「アポロンの世界とやらは冥界がないのであろう。ーー我がこの際だ。協力してやろうではないか」


「協力してくれるのですか!」

アポロンさんは期待した面持ちでハーデスさんの次の言葉を待つ


「我はゼウスの吠え面を見たいからな。

ーーゼウスが主導で動いてる壮大な計画らしいでわないか

ーーなら奴の計画に我の力で計画を歪めてやろう。

ーーなぁに全くしらん世界の箱庭に我が冥界を現界してやろう。

ーーさすればそれは我の世界ということではないか。

ーーまずは試しに冥府の魂を一時的に移せるかなどを実験せんといかんな!」


「フハハハハ!これが成功すれば我の世界は更に広がる訳だな。 良いぞ!ゼウスにもできん事だ」

席を立ちマントを翻すハーデスさん


「さあ、アポロン!太陽を司りし神よ。冥府の暗き力を求めるが良い」

ハーデスさんはアポロンさんに右手を伸ばす。


「これにて我らは新たな新世界の創造主であり。共犯者でもある。しかしそれが新たな世界の選択である!!」

椅子から勢いよく立ち上がったアポロンさんはきつくハーデスさんの手を取るのであった。


フハハハ!

高笑いは続く。俺はアポロンさんに力強くに握手されて痛いのを我慢しているハーデスさんの仕草を見逃さないでいた。



ーーと言う訳で




ハーデスさんの手助けもあり。




今、天の川にて再会する


彦星は件の男性

アルテミスさんの想い人だった人である。



これはアポロンが言ったように一時的であり。今回だけの特例である。


常にルールを守ろうとする。アポロンさんらしくなくアルテミスさんみたいにルールぎりぎりのグレーの行いであるが祭りを最大限に仕上げるための最高の仕上げである。





◇◇◇◇◇◇




織姫と彦星が逢瀬をする天の川のほとり


天の川を挟み対面する二つの影


星々が煌めく大河のほとりにて巡り合う男女。

何を話し合ってるかは、こちらからは誰にも分からない。


織姫の影が彦星の影を視認したと思われたとき歩みが止まった。

ほとりにて歩みを止めた織姫にゆっくり話かけるように歩み寄る彦星

それを少し引いた映像を大衆は見ていた。

お互いの小さな影しか見えない。なのにその二つの影の小さな挙動にどよめきや、ため息、唾を大きく飲み込む音。各人それぞれの想像が掻き立てられている。


そして動かぬ織姫に彦星が天の川を超えてゆっくりとたどり着く。


その瞬間大きな歓声が上がる


二つの影が重なる時


涙を流したかのように流星が一筋流れて、また同じく煌めき流れる。

人々は流れる流星が、どちらの涙であろうかとおもいに搔き立てられた



それを地上よりただ黙って見上げる人々



きっと煌めく星を静かに見上げる光景はいつの世も幾千と続けられる人の世の変わらぬ景色



そして静かに幕が閉じる



2人を祝福するかのように幕を閉じると夜空に数多の流星群。

人の拍手の万来がひとしきり続いたのだった。



勝負の結果は万雷の拍手をもって語るまでもなかった。





◇◇◇◇◇◇




暫くして地上に降り立つアルテミスは少し腫れぼったい顔で照れるように地上にて待っていれくれた

ヘスティア、アテナに感謝の言葉を告げる。

二人が協力してくれた気持ちが嬉しかった。そして今回お膳立てしてくれたであろう弟のことを想う。

だけど感謝は弟には不要。だってこれは酷い騙し討ち。

それにそんな展開アルテミスは望んだことはなかった。

今回のような計画、弟に思いつくわけがない。

考えつく人の男性の名前がすぐ思いつくが勿論感謝などしない。

どちらも自分勝手である。

それでアルテミスが感動して何か変わるとでも

私が感謝するとでも

怒りは沸き立つ。

だけど認めないといけない。


彼に謝ることが出来た。

伝えれぬ気持ち、ずっと心の底に留まる感情、整理できないナニカ、思考を時間を止めていたワタシを知ることができた。


過去である

誰が悪いのかはどうでもいいそれらを振り返るほど神の命は短くない。

今の事実だけを今は考えよう。

ばつの悪そうな顔をしている弟が立っている。


ーーアルテミスから顔をそむけているアポロンに告げる


「アポロン私の勝利ね。私が勝ったから頼み事を聞いて欲しいの」


「僕の負けだ。素直に認めるよ。男性の傲慢だったと。なんでも言ってくれ!」

どんな顔をしていいか分からないでいたアポロンであったが以外にも件の男性のことに触れず明るく勝利を宣言するアルテミス。いつもどうりに振る舞うように意識して緊張するアポロンは勢いでごまかそうと

負けを潔く認める発言をする。


ーーなら、私の世界の管理もよろしく


「それはどう言う意味だ。責務を放棄するきかい。それは流石に許されないよ」

全く想定外のお願いに戸惑うアポロン


「違うわ。私の世界とアポロンの世界は一つになるのよ。ーーだからアポロンは変わらず、この世界を管理するだけでいいのよ。あと心配しないで放置する気はないわ時を見て私も管理を手伝うわ」

事態を理解できない弟を諭すように優しく告げるアルテミス。


「何を言ってるだい。意味が分からない」

更に分からず慌てふためくアポロン


「アポロンあなたはやっぱり真面目ね」

戸惑い慌てふためく姿を横目に衝撃的なことをアルテミスは発した。



  ”世界を融合するわ”



「私のメインの星の前の惑星をアポロンの惑星と入れ替えて二つの創生の卵を一つにする」



「そんなことができるわーー


  「できるわ」

アポロンの反論を聞かず答える。その姿は自信に満ち溢れていた。


「私考えてたの。創生の卵は幾つかあるけど本当は最初は一つだったんじゃないかと。可能性を求めるあまり分かれたのでわないかと、なら、逆に一つに戻せることも可能のはずとね。正直自信がなかったけど今回のことで確信を持ったわ」


「・・・・」


「アポロンが夜の世界の乙女を月の民と言ったでしょう。なら本当にアポロンの世界の月の民になってもらう。そしていつか本当に二つの世界に住まう人々が手を取り合えば私たち神の力を借りずとも逢える世界になれる。

ーー素敵じゃない。今は神の力を借りて、年に一度交わる昼の世界と夜の世界。いずれは人の力で一つになる。そして神の力は不要になる」


「それこそ神話のおとぎ話だ。管理を僕に任せてアルテミスはどうするんだい?」

理解できないという態度で聞く。


「そうね。天界にも人界にも冥界にも全ての世界に届くような唄を歌おうかしらね」

アルテミスは微笑する。

唄は誰のために歌うのか?それはどんな唄なのか?



ーー新しい物語を描いていきましょう。アポロン

アルテミスのなかでは答えがでていた。

 


後日


大会中語られることがなかった乙女達やアテナさんの応援の女戦士達、そしてアポロンさんの選手たち

隠れて交流していたらしく。最後の七夕の演劇に自らと同じ身の上だと思い込み恋愛感情に盛り上がるものが大勢いたとか。お互いの世界にそれをモチーフにした童謡や劇が増えていく。

アポロンさんの世界でも芸術や武術の幅が増え女性を軽くみる風潮は少なくなり色んな面が活発化しているとのこと。

「成功だよ!」とアポロンさんが言っていたが今は事務所に借りた借金の返済と二つの世界の管理で大変だと嘆いていた。ーーがその笑顔は太陽のように眩しかった。


アルテミスの世界でも男性が醜く不潔で不浄という考えでアテナさんの女戦士達に恋する一派と初めて交流した男性に恋焦がれる一派ができ次こそは自分も体験したいと皆大会に出ようと頑張りだしているとのこと。

今まで生きることも放棄している精神性からみると大きな違いにアルテミスさんは皮肉が入り混じった微笑をしていた。

アルテミスさんは決して最後の祭りの出来事は語らないでいた。

ただ皆に感謝の言葉を告げるのみであった。

俺にも大会開催に尽力を尽くしたことに感謝の言葉をいただいた。

しかし件の男性の件は触れることはなかった。

一つ言えるのはアルテミスさんの男性に対する態度は少し和らいだと感じるぐらいしかわからなった。


それが彼女にとって前進なのか戻ったのかは分からないけど月の明かりは男女関係なくてらすのであった





ーー祭りの最中、俺は何をしていたかというと


地の底、冥府にいた。

今回、力をお借りしたのでお返しというわけでわないが話しを聞いてくれとハーデスさんに頼まれ伺っていた。

どんな話かというと


嫁を更に更に我に惚れさせる方法がないか?


天界に帰った嫁が天界に戻る期間だけ人の世界に愛人を傍に置くと言われたらしく断ればいいのに惚れた弱みなのだろう。直接当人に強く言えないハーデスさんが誰にも言えない愚痴を垂れ流していた。俺は長々と聞かされていたのだった。


結局嫁の愛人を認めることにしたのだから惚れるが負けなのだろうか。なんにしても休日に暗い世界にて暗い話を付き合わされたので参ったのだが。一番参ったのは嫁の愚痴を言いながらハーデスさんの言葉の端々に惚れ気を服装や調度品などにも嫁の影響を感じることであった。別に嫉妬しているわけではないが一度嫁さんのことで相談を受けた身としては祝福の気持ちもある。ーーが、俺が休日を潰して嫁の愚痴を聞いていているのに話している方からそのような感情を感じると俺は休日彼女と会わずに何をしているのだろうという徒労感が出るからであったのは仕方ないよね。



◇◇◇◇◇◇




アルテミスとアポロンの世界が融合の兆しを見したとき

漆黒の空間にて対なる瞳が開く

かつてない動きに混沌の始まりが動く

瞳が次元の窓を開く

世界の融合の兆しに係る神気をたどる


アポロン

アルテミス 

双子の神である。融合に至ってもおかしくはない。だが何かが混ざっている。混沌は思考を巡らす。

更に融合の兆しを見せる卵からの神気を辿る。

ハーデス  

冥界を預かる神である。

初めての異変。変異の現れ

瞳は更に違和感を察知する。

冥府に生けるものの波動がハーデスの隣から感じる


そして初めて隣にいる人間に気が付くのだった。




長くなった双子編終わりました。

ハーデスさんの理想の男性像がアポロンさんの為実はハーデスさんはアポロンさんが苦手。


ハーデスさんの嫁ペルセポネさんが冥府にいる期間は四ヶ月です。その期間が天界にて話し合い定められた期間滞在します。冥府にいる間夫である。ハーデスさんを愛してます。ですがその期間以外は天界にて生活するので恋をしたいと正直にハーデスさんに伝えてます。

結婚相手としてハーデスさんを愛してるが恋は別でしたい嫁のわがままを理解してしまうハーデスさん

逆にハーデスさんが浮気すると烈火の如く怒るペルセポネさんであった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ