日誌14
アポロンさんの世界とアルテミスさんの世界の競演たる大会が始まった。
大会は全部で七日間行われることになった。
開催都市の各地に競技場、武闘場、舞台にて行われる。
始めるに辺りアルテミスさん側から提案された最大の懸念となったのは時間帯であった。
夜の世界の乙女達は昼の日差しと明るさを知らない為。屋内競技を除いて夜に行うべきだと提案があった。しかしアポロンさん側から夜のみの開催ではこちらの競技者の体調管理と会場の明るさの提供や治安の問題など難しのではないかと反論があった。
そこでの解決策が神ならではの豪快というより前代未聞なやり方であった。
天体の軌道、動きを変えたのである。
アポロンさんの人の住む惑星には月となる衛星がある。
なんと競技が行われる大会期間一週間月の位置を固定して開催地域周辺を日食状態にしたのである。
つまり夜の世界を疑似的に再現されたことになった。
開会式や閉会式などは形式上開催地の一番大きな城にて各地の王族や有力者や商人などが行われたがそれには神は関与せず儀礼的で形式的な祝辞が述べられ始まることになった。
競技種目は多岐に渡るため
文化的に正直アポロンさんの世界に比べて文化の成熟度が未熟な部分が多いところがあるためアルテミスさん側では提案された競技に全部参加は難しく競技を絞る案も一度でたが勝負とはいえ祭りの要素もあるためアポロン側では女性で人間という枠であれば助っ人選手を他の世界から借りることを容認していた。
人数制限は設けられたが、そこでアテナ側から有望な選手と芸術家を応援として受け入れることで全ての会場にてアポロン側からの提案種目を行うことができる運びとなった。
◇◇◇◇◇◇
「なんと素晴らしい大会であろうか、妾も武闘大会飛び入り参加できぬもんかなヘスティアよ」
大会が始まり三日目に差し掛かり今日から会場の世界入りしたアテナが都市の熱狂にあてられ興奮気味に隣のヘスティアに話しかける。
「僕は見るだけで満足だよ。それより打ち合わせするよアテナ」
子供のように夜空に浮かび上がる各地の映像に子供の様に瞳を輝かせているアテナ。見た目が大人の女性が今にも走っていきそうであるのに、その反対の幼女と見間違おう姿をしているヘスティアに窘められていた。二人の姿を始めてみる案内人はすの様子に滑稽さとほほましさを感じ笑みがこぼれそうになったが案内している二人は創造主たる神の兄弟にあたると説明されており我慢するのであった。
「どうぞ、こちらにてお待ちください」
案内された部屋は王族などが劇場にて演劇を鑑賞するときや秘密裏にだれかと会談するときに使用される部屋であった。
二人が案内された部屋に入ると程なくして案内人が来客を告げアポロンが入室してきた。
「やあヘスティアにアテナ美しいね。君たちの輝きで夜も吹き飛んでしまいそうだよ。来てくれて本当に嬉しいよ」
アポロンは眩しい笑顔で二人に握手を求めるが慇懃に拒否される。
「話にはきいていたが、世界創生が凄いものだね。妾も父上に頼んで一つせてみようか」
アテナが今までの見てきた道中の世界が全てアポロンが創生したことがいまだに信じられないと素直に驚嘆する
「そんないいものばかりじゃないよ。その分制約も課せられるし結果も求められからね。アテナは地上を守る仕事を任せられてるだろう」
肩をすぼめて答えるアポロン
「それよりアポロン大会のほうはどうなっているんだい?」
「それは私が答えるはヘスティア」
声の方を向くとアルテミスが部屋の扉側に立っていた。
「アルテミス天体の軌道すら変えてしまうとは神の奇跡とはいえ凄いな。とても驚いたよ」
アテナがアルテミスの姿を確認すると手を取り驚きを訴える。
「アテナも驚愕させたなら、それだけでも大会を行った価値があるわね」
アルテミスも普段は他のゼウスの兄弟神を少し見下してい様に感じるアテナが素直に驚きを表していくのをみるとと自然に笑みがこぼれる。
視線を感じてみるとアポロンとヘスティアが二人の手を取りあっている状況をほほえましく見ていることにきずいて慌ててアテナから手を外す
「アポロンいつまで女性の部屋にいるの。」邪魔よ出ていきなさい。それとも勝負に負けそうだから堂々とスパイ行為しにきたのかした?」
「これはすまない。すぐ出ていくよ。二人が今回僕の創生した世界に降臨してくれて感謝の言葉を一言伝えたくてお邪魔したんだ。邪魔者はすぐ立ち去るよ」
そおいうとアポロンはすぐに部屋から出ていくため扉に歩いていくが途中振り返る
「あ、あとアテナ大会を盛り上げるために選手を応援として貸してくれてありがとう。この世界にとっては神話として今後語り継がれる大会だから、できる限り競技を行いたいと考えてたんだ。
ヘスティアも最後の演劇の案を出してくれたんだって楽しみにしてるよ。だけど勝負はこちらが勝たせてもらうよ。確かにアテナは強い、アテナのもとで鍛えたという女性も当然強いだろう。
だけど勝負はあくまでも人間の行うことだ。アルテミスにもお二人にも男の力を見せつけてあげるよ」
「アポロン妾が応援して負けなどあり得ない。今のうちに姉のアルテミスに泣きつく準備をしておくがよい」
「おお。こわい。怖い、ではいくよ。二人とも勝負の世界だ。手を抜くわけにはいかないが、来てくれてありがとう」
アポロンはそう言って本当に部屋から出ていった。
「騒がしい奴だ。ところでアルテミス実際大会の途中経過はどんなものだ?」
アポロンの後ろ姿が消え去るのを確認してからアテナがアルテミスに問いかける
「勝負は全種目は90あって種目にもよるけど基本一競技双方側三人と三人の計六人で行い。一位が10点、二位が5点、で行われているの。
現在競技の約半数が終わり。アポロン側が405点こちらは245点負けてるわ」
「自信ありげにいうだけあってやるもんだね。だから先ほど余裕の笑顔で出ていったんだ。腹たつな」
「ヘスティアが言う通り。余裕があるから挨拶に来たんだわ」
「ここはアポロンの世界最初から不利は計算のうちだ。肝心の最後の演劇の配点はどうなってるんだい?」
「500点よ」
「500点ってことは一つの種目が1,2位合わせて15点なのだから、……全部でええっと90あるから。アテナどれくらいになるんだい」
指をもって数を数えるヘスティアが分からずにアテナに振る
「おおよそで1300ぐらいかと、つまり最後の演目に500配点あるということは最終日に、こちらと倍近く点数に差がついてるという前提で提案しています」
「なめられたものね。弟の癖に」
「勝利の女神を敵にまわしたことを後悔させてあげましょう」
「愚かな男たちに芸術を理解するのは早かったのだと教えてあげよう」
三柱の処女神は内に怒りを秘めて結束するのであった。
「時間がないわ。早速演劇の準備にはいりましょう。それで演劇の演目内容を教えてもらえないかしら」
今回の演劇は ”七夕の話よ”
◇◇◇◇◇◇
そして最終日
全ての競技は前日の六日目にて終わり
後はお互いの演劇が行われることになる。
午前にアポロン側が行い。
午後にアルテミス側が行う
勝利の判定は空に浮かび上がる演劇をみる大衆に決めてもらうことになっている。
演劇を鑑賞した人々がより感情が揺れ動いた側が勝つ。演劇が流れるところに感情の動きを捉えるオーブを設置して数値化して判定できるシステムを今回準備していた。
午前でのアポロンがわの演目は終わる
演目内容は一人の若者の男性が神の啓示を受け試練に立ち向かい。民の為を思う国を建国するという話でこの地方ではとても人気のある演劇であり皆から受け入れやすい演目であった。
「うう緊張するよ。アテナ」
「ヘスティア頑張りましょう。後半にて大会は皆頑張って追い上げましたが依然僅差でありますが負けております。全てはここで決まるます。妾がいるかぎり勝負に負けはありません」
「更に緊張するよ。責任が責任が」
「ヘスティア緊張しないでください。勝負はこれでつきますが。当初の愚かな男どもに女性の力を見せつけることは成功しております。今アポロンの世界では肉体だけでなく武術や芸術でも女性に負けて見方が変わってきているわ。それだけでも意義を果たしているのだから」
「いや、アポロンの吠えずらをかかせないと!」
三人が手を取り合う
「「「勝つぞ!」」」
幕が上がる
官女達の美しい舞にて舞台が始まる
演劇が始まり観客たちは静かに空を見上げる。
先ほどまで賑やかで騒音が鳴り響いていた都市が静まりかえる
舞踊の演劇内容は
七夕の彦星と織姫の星と男と女の愛の物語
ナレーションはアルテミス
演じるは織姫はヘスティア様
彦星役は男装したアテナ様
ヘスティアは神力で成長して普段より成長した姿で役に入ってる。
物語が始まる。
アポロンの世界では恋愛の演目話はあまりなく。
男と女の話は大体、勇者や王を待つ姫の話が多いので身近な立場の織姫と彦星の話は見るものを夢中にさせていた。
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演劇は佳境に入る。
みなが見入っている
ここで一旦幕は閉じて休憩に入る。
そこでトラブルが起こる
「アタタタ」
ヘスティアは急にお腹を痛がる仕草で膝をついた。
「どうしたの?」
近くにいた舞台裏から劇を見ていたアルテミスが心配そうにかけよる
幼児姿に戻り顔を歪めて体を抱えるように横たわるヘスティア
「ごめんアルテミス。慣れない世界にて長時間、神力で自分の体を大きくしてたのに無理が来たみたい」
「ええ、どうしましょう」
慌てるアルテミスは周りを見渡すとアテナもヘスティアの異常に気付き駆け寄ってきた。
「ヘスティア!大丈夫か!」
「うう、アテナごめんなさい。動けそうに無い」
「ヘスティア無理はしなくて良い。だが困った。後は最後のラストの2人が空に浮いて今、実際に天に輝いてる天の川にて年に一度の恋人の逢瀬のシーンのみ。セリフはなく。空に飛んで中天にて出会うだけなのだが...空に飛ぶとこは神にしかできない。しかし、ヘスティアはこんな状態だ。無理はさせれない...。」
アテナは苦悩の顔で天を見上げる
「アルテミス代わりをお願いできないかい」
アテナがアルテミスの顔をみると同じくヘスティアもアルテミスの顔を伺う
「そんなラストに変更なんて無理だわ」
アルテミスは急な配役に当然のように断るが二人の視線がそれを許さない。
「大丈夫最後は空に浮かんで出会うシーンだし。下から見れば誰かは分からないよ。それに映像は少し引いた形で撮影する。2人の再開シーンはあえて引いて流してもらい余韻を感じてもらう演出だから大丈夫さ」
「他に誰か変わってもらえないの」
「ここにいるのはアルテミスだけだ。君の民の乙女達では空に浮かぶ役は無理だ。それに彦星役は妾がえんじている。同じ女性だからアルテミスでも大丈夫だろ」
「アテナ相手なら安心できるけど」
「すまない。アルテミス。だけど負けたくないんだ。こんな幕引きなんて、 うっ、あ、イタタ!」
ヘスティアがアルテミスの腕を取りお願いする。
「分かったわ。衣装とカツラを貸して」
覚悟を決めてアルテミスはヘスティアの腕を握る。
アテナも同じく手を握り合う。
休憩が終わり最後の幕が上がる。
遂に最後の年に一度の再開シーンとなる。
織姫も彦星も空に舞い上がっていく。
舞台から浮かび上がり飛んでいくのを観客は歓声を上げて。一部は声を上げることすらできず、口をあけて眺めていく。
二人は雲を突き抜けていく、その時観客は、二人を見失う
空に浮かぶ厚い雲が急に払いのけられる。
そこには美しい天の川が浮かび上がる。
その美しい光景に皆声を失った。
そこから二人は影しかみえない。
天の川を挟んでちかずく二つの影
二つ影が重なる時。流れ星が一筋流れた。
それが涙にかんじた観客は同じく頬に涙を流す。
ーーそう舞台は最高潮に達していた。
少し長くなったので分割次で終わります。