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日誌9


では仕切り直しである。


「安井です。よろしくおねがいします」


「ええ、よろしく」

今度は簡潔に答えるアルテミスさん。

隣でおとなしく手を組んで目を瞑っているアポロンさん。

初めての3者面談だが隣に人がいると少しやりずらく感じる。

例えるなら三者面談の保護者同伴みたいな気分だ


「最初に言っておくわ安井」


「何でしょうか?」


「あなた最初から私を観察してたでしょう」


「はい。すいません少し観察してたかもしれません」


「不快なの。汚い人間の男性に見られるのわ。今後気を付けて」


「・・・すいません」


アポロンさんの目が少し開いた。

言葉にしなくても意味が分かる。「分かるだろう」 と訴えている。

確かにアポロンさんが心配して同席してくる気持ちが分かる。

これは正直やりずらい。というよりアルテミスさんの顔を見づらくなり話づらい。


「あと私、男に触れられのは嫌なの。触れたら死んでもらうわ」


「気をつけます‥‥」

更に追い討ちをかけてくるとわ。いやむしろ先に注意を伝えてくれたと考えるとアルテミスさんなりの優しというべきかもしれない。


対面のアポロンさん片目が薄く開いている。

今度は「俺の気持ち分かっただろう」と訴えている。

これは確かにアポロンさんの心配する気持ちが痛い程分かる

純潔というより重度の潔癖症というべきか。

男はバイ菌扱いである。

まだ対面にて息をするなと言われないだけマシと思わないといけないかもしれない。 

もしかしたらアポロンさんがいなければ言われた可能性があるかもしれないが‥‥

 

「それでアルテミスさんの相談内容をお聞きしても良いですか?」


「私、男嫌いなの」


ええ、ハッキリ言われなくても、もう充分分かりましたよ


「アポロンさんは大丈夫なんですか?」

一応皮肉含めて確認する。


「弟は私の半身。それに弟というのは可愛い犬みたいなものだから大丈夫よ」

アルテミスさんは含みある顔で隣のアポロンさんに視線を移すもアポロンさんは黙って目を閉じている。

アポロンさんの口がモゾモゾしているのはご愛嬌ととるべきだろう。

発言を我慢しているのはアルテミスさんは分かって反応をみてからかって遊んでいるのだろう。 

仲がいい兄弟と思いたい。

アポロンさんは頑張って我慢している。


「そうですね双子ですから半身みたいなものですね。質問した私が愚かでした」


「ええ愚かだわ。でも自ら認めるのは賢いわ」


「ありがとうございます。それで男嫌いがどうされたんですか?」


「私達選ばれたゼウスの子は世界を創っているのは知ってるでしょう。

自由な自分だけの箱のような世界。

ある意味理想郷すら創生できる力

それなら嫌いなものは排除したいと思わない?」


「私には世界を創っていくということは分かりませんが嫌いなものを最初からのけたいという気持ちはわかります」

例えば夏の蚊や黒いGとかである。

いなくできるならしたいところである


「そうでしょう。それで私は世界に男を排除した。

男がいない世界。穢れを知らない乙女だけの世界。

子供はコウノトリが持ってくる理想の世界」


「男性がいない世界ですか。正直驚いてしまいます。そんなことも可能なんですね」

なるほど俺と同じ発想なら男は蚊や黒いGと同じ扱いであるということになってしまう。

深く考えないようにしよう。


「そう可能、というより苦労したあと創造したの。だけどその後が上手くいかないわ」


「何故なんですか?」


「それはアルテミスがルールを守らないから」

隣のアポロンさんが代わりに答えた


「ね、え、さ、ん!でしょう。それに私の相談時間よ弟には発言権はないでしょう」


「うう、すまない。だが安井聞いてくれ。世界創生にはルールがある。物事には対極を入れないといけないルールが、昼には夜。男には女。それをしないで世界の創生はしてはいけないがアルテミス姉さんは破っている」


「世界の可能性を見つける仕事よ。ルールを正しく守っていては見つからないこともあるわ」


「そおいって何度も創生し直しているじゃないか」


「失敗の経験が成功に繋がるのよ」


「創生のルールは最低限守るべきだ」


「黙ってアポロン。話が進まないわ」


「申し訳ない姉さん。最後に安井に一言言わせて欲しい」

アポロンさんは俺に向き直る。


「相談相手の安井には知ってもらった方がいいかと考え伝えておく。

アルテミス姉さんの相談はまず公正なる世界のルールを破っている前提で話して置かないと安井のアドバイスも公正でなくなると僕は思うから姉さんの時間を奪って発言してしまった許してほしい。

超えた時間は僕から引いてくれて大丈夫だ」


「アポロンあなたの考えは正しくあるわ。だけど公正という前提が間違っていたという可能性があるのだから黙っておくべきだったわ。その考えを植え付けられた安井は只の人になってしまったかもしれないのよ」


いえ私は最初から只の人ですよアルテミスさん

「一応確認ですが二人とも別の世界を創生されてるんですか?」


「そうよ。私と弟のアポロンは別の世界」

アポロンさんを見ると最初と同じく手を組んで目を瞑っている。

もう発言は控えるといくことだろう


「良ければアルテミスさんの世界を聞かせてもらってよろしいでしょうか?」


「男って女だけの花園の世界と聞くといつも知りたがるわね。不潔だわ」


「いえ違います。参考までにとですね」

俺はアポロンさんに助けを求めてみたが先程と変わらずの姿勢で動じない


「気にしなくて良いわ。どおして乙女とコウノトリで世界が回るのか聞きたいのでしょう。ほんと男の発想は不浄だわ」


もう良いです。俺は不浄で不潔です。

教えてください



 ◇◇◇◇



アルテミスさんの世界は夜の世界

本来なら昼の世界がいるので壁となる大きな惑星を主となる星の前に配置して月となる星を3つ配置して最低限の明かりを常に維持しているとのこと。

命の誕生から人に近い種の生誕までは地球に近いらしいがある程度の段階で同性での子孫誕生が出来るイレギュラーの個を優遇していくことで現在からみると相当歪な世界が出来るらしい。

アルテミスさんはその調整を何回か繰り返す事でできたとのこと。

今ではある程度安定して同じような世界を再現できるとの事。

文化レベルは神話時代の人のレベルとのこと。どのようなレベルか俺にはよく分からないが話しの腰を折るわけにいかず流している。

乙女とそこに住む獣は会話に近い意思の通じる種もいる存在もいるらしく傍から聞くとユニコーンと乙女が存在するような神秘的な世界である。

乙女達はある程度大きくなると子孫を残そうとする。

ある条件で接吻すると子供を授かり世界を紡いでいく。

これはアルテミスさんの趣味だろうと思われるシチュエーションである。


さて問題であるが

文化レベルが進まないのと乙女達はある段階になると謎の病気で種が全滅するか精霊のような存在になってしまい何も残らない空虚な星になってしまうのでリセットしてしまうらしい。


アポロンさんに言わせるならルールを守らないからだろうで終わってしまう話しである。

だけどアルテミスさんの考えも分かる

求められる世界の可能性が謎であるのならルールを守らない。もしくはグレーなところをつめていくのも良いとは思わないがやってもいいと思う。

ペナルティの有無は分からないから迂闊なことはいえないけど

乙女が精霊になるなんて俺からみたらそれが進化という一つの究極の答えでいいと思うんだが何が不満なのだろうか。もしかして精霊が俺のイメージと違うのかもしれない。

まあ、そこらの神が求められてることは俺には関係ないから干渉すべきではないけど

今回求められてるのはアルテミスさんのことである。


「アルテミスさんはその世界。そうですね夜の世界と仮に言いますが何が不満なのですか?」


「私の理想なる世界。途中までなら完成された世界だと思うわ。ただ‥‥」

少しアルテミスさんは言い辛く口を閉じる


「ただ、どうされたんですか?」


「私の美しい乙女達は完成なる世界を続けると死に絶える。いえ生きることを諦めると言った方が正しいわね」


「生きることを諦めるというのはどおいうことでしょうか?」


「優しくなりすぎるの。争わない。食事も最低限。種の存続の意思が希薄となっていく。行き着くところは種の本能がなくなって乙女達の種は自然となくなるか自然と一体化となるかの二択になるわ」


「その結果はどうしても、どちらからになるのですか?」


アルテミスさんは沈黙する 

ここは沈黙する場面ではない。では例外があるということだ


「例外もあるのですか?」


「あるわ。ただそれも正しくは例外ではないわ。結果滅びるのだから」


「教えてもらっても良いですか?」


「乙女達と獣の一部は意思の疎通ができる。そおいうことよ」


どおいうことだ。乙女と獣が仲良く戯れる幻想的で絵になると思うが‥‥。

アルテミスさんの顔を見ると少し顔が紅くなっているような。気のせいかな


「安井私の顔をジロジロ見ないで不快だわ」

そおいってアルテミスさんは顔をアポロンさんとは逆に背ける。

なんだ恥ずかしがっている風にもとれる行動だ。

恥ずかしくて言いづらい乙女・・

つまり‥‥獣と乙女がそおいう関係になり結果的に存続されないということか

確かに男を拒否した世界で言葉が悪いが本当のケダモノと一緒になれば本末転倒で言いづらいという訳かぁ。


「アルテミスさんは乙女達にどおなってほしいですか?」

考えてみたがおそらくアルテミスさんは世界には興味はあると思うが同じ世界を創生されてるということは理想の乙女の世界に固執している可能性がある。


「私は世界が滅びるのは仕方ないわ。結果そうなるのだから理想の乙女達は私の中にいる。

でも願わくば

もう少し生きてほしい

それが私の望み」


それは創生の力を持つ神様にしてはささやかな願いかもしれない。

ただ俺には大きな相談の願いである。


そして



「アルテミス姉さん残念ながら交代の時間だ」


アポロンさんが告げる




お茶うけ


アルテミス カフェ・オ・レ


アポロン ミルクティー


お菓子は

クッキー缶セットから出しました。


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