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日誌6


今日は田中君の2回目の社内キャリアコンサルタントの相談の日である

時間通りに俺のいる会議室3の部屋のドアが開かれる

「やすえもーん。助けて!」


「誰がやすえもーんだ。君はのび太か」


「すいません。ここに来るとそんな気持ちになるんです」

俺は軽口をたたく安井君に席をすすめると素直に席に着く田中君。何か新鮮に感じる。相談者に席をすすめて素直に座ってくれただけなのに‥‥。

やはり俺の環境は特殊だよな。

田中君の顔をみると癒されるので俺ものび太君!とこれから合してみよう

「田中君では始まる前に飲み物は何が良いかな?」


「やすえもーん!どら焼きと玉露をお願いします」


「のび太君には俺が使った使用済みティーバックで三度目のお茶を入れてあげよう。茶菓子は消費期限切れのクッキーで充分だね」


「謝りますので普通のお茶でお願いします。消費期限は気にしないのでクッキーは大丈夫です」


ふざけてしまったが俺は元々準備していた。お茶とクッキーを出す。

クッキーは勿論消費期限など切れてない

田中君神経が細そうに見えて消費期限とか気にしない辺り特殊な職場環境(田中君本人は知ってないが)に適応しているあたり意外と神経は太そうである。



少し二人談笑しながらお茶をいただく

仕事中であるが真面目な話の前に打ち解けるのも仕事の内と言い訳しながらくつろぐ。

ある程度落ち着いたところで俺は自然と話を切り出していく

「田中君は今後どおしていくつもりなんだい?」


「将来ですか?とりあえず可愛い恋人が欲しいです」


「恋人いいね。仕事はどおしていきたい?」


「今は事務ですが総合職として色んな経験をして40には管理職として任されたいですね」


「いい展望だね。欲しい技能とか経験は決まったかんじだね。目標設定今回で決めてしまおうか」

田中君の話してると素直な感じが好感が持てる。31歳で目標を立てて動いてる。昔の俺なら嫉妬するとこである




「うん、目標設定もいい感じだね。じゃあ具体的にもっと考えていこうか」


「はい、よろしくお願いします」

田中君の気持ちのいい返事でテンポ良く話が決まっていく。

あとはお互いの話で進捗や評価を半年毎にしていくことを決めていく。そんな感じで午前中の仕事を終わった。



 ◇◇◇◇



という事で午後の部になる。

今日は本業?の方の神様の相談が入っているので外で昼食を済ませてから自分の部屋となっている会議室3の部屋を開けると俺は尻餅をついた。


「さ、

さ、貞子!」


部屋の真ん中に白いワンピースを着た女性が立っていた。

ウェーブかかったくすんだ茶色髪が腰まで伸びている猫背気味で長身の女性と思わしき顔が見えない。

照明をつけてなく窓にカーテンがかかって部屋の薄暗さと相まって腰を抜かす。

俺は幽霊やホラー映画は苦手であった。


「どおしました安井さん」

俺の声を聞きつけて佐藤さんが駆けつけてくれた。

俺は咄嗟に声が出ず。

幽霊を指差す


「これは女神アンゲロス様お早い来社ですね」

佐藤さんは幽霊を一瞥すると姿勢を正しお辞儀をする


「女神アンゲロス?さん」

俺は佐藤さんの態度で冷静になり幽霊をみる。

やはり見た目がどおみてもテレビから出そうであるが冷静に見ると髪で顔を隠して脅かそうとしている幽霊役の人に見えないこともない


「あなたが安井。よろしく」

そおいってアンゲロスさんは長い髪を後ろに簡単に結ぶ。顔をよく見ると目鼻がハッキリしているモデルさんみたいな女性である。


「あのう何故電気を消して、そんな体制でいたんですか?」

俺は驚いた疑問を聞く 


「少し早いけど先に顔を見ておこうと部屋を訪れたら部屋が暗くて躓いた拍子に髪が乱れた」


「そのタイミングでおりわるく私が来たんですね。取り乱して申し訳ございませんでした」

俺は佐藤さんとアンゲロスさんに謝る


「安井さん、これからは気をつけてください」

佐藤さんはそおいって去って行かれた。

気をつけろと言われても不可抗力の気がするのだが


「安井は話で聞くより臆病者。拍子抜け」


「申し訳ないです」

アンゲロスさんの言葉に傷つくが素直にここは認める


「アンゲロスさんは普段からその髪の長さなんですか?」

俺は大人なので素直に謝るがアンゲロスさんが髪がそこまで長くなければ問題なかったという思いが質問に変わる。要は納得いかないのである。


「これは願掛け!」 

アンゲロスさんは長い髪を愛おしく手櫛する


「願掛けですか。なんの願掛けなんですか?」


「愛する兄様の勝利を願って叶うまで伸ばす」


「愛する兄さんのためですか。兄様思いなんですね。その兄様とはお聞きしても?」


「ええ、隠す事ではない。私の愛する兄様。アレス兄様!」

光悦した表情で答えるアンゲロス様

光悦は続く

「はあ、美しくも強い兄様。私の憧れ。常に同じ戦場に立ち、憎き敵兵の血で祝杯を交わす」


俺は無言になる。

アレスさんはヘパイストスさんには嫌われてたが言われて見ると明るく真っ直ぐで強い男前の軍神である。

見方を変えるとアテナさんの男バージョンといえば慕われる面もあるか。

俺からすると人の話を聞かない自分の考えで突っ込むトラブルメーカという考えもあるが‥‥。

ここは仕事であるアンゲロスさんに合わせよう。


「素晴らしい兄様思いですね。アンゲロスさん」 


「ええ兄様は凄いから世界は皆兄様を崇めるべき。だから兄様に酷いことするのは許されない!」

アンゲロスさんの瞳が細くなる。周りの気温心なしか下がる。


「と、とりあえず椅子にお互い座りませんか?お茶もありますよ」

やっぱり怖い人だった。


「私ハーブティーが良いわ。あるかしら」


「インスタントであれば」


「構わない」


俺は心の中で焦りながらハーブティーを入れる

アンゲロスさんは素直に椅子に座ってくれて安心したが明らかに俺に敵意を持って来ている。

アレスさんが仕事漬けになっていることと無関係とは思えない。

ハーブティーのインスタント購入しといてよかった。

女性社員が相談された時に心落ち着かせる効果があると聞いて買っていた昔の俺に感謝する。


ズーズー

アンゲロスさんがハーブティーを一気にすする。

俺がおかわりを入れようとするも「要らない」と一言発した後黙って俺を見つめるのだが睨んでいるように見えるのは俺の被害妄想だろうか。むしろそうであって欲しい。

「え〜アンゲロスさんも世界を創生されてるんですか?」

沈黙に耐えれず俺から質問する


「その前に安井あなた兄様に嫉妬してる」


「嫉妬?」

俺はまのぬけた声で心当たりのない単語を繰り返す。


「言わなくても良い。完璧なお兄様。全てを持って生まれた理想の男性像。他の人間の男性が嫉妬するのは当然。私としたことが分かりきったことを聞いた」


返答に困る。

認めるべきか否定するべきか対応誤れば怖い気がする


「あのう、それでアンゲロスさんはどんな相談でしょうか?」

無視して進めることにした。


「分かる。いつも完璧な兄様。強く凛々しい兄様。美しい兄様を側で見るだかで至福の時間。だけどそんな完璧無敵の兄様が困って弱る素顔を見るとたまらない。抑え切れない感情が溢れる」

顔を歪めるかのように光悦に至るアンゲロスさん。


「安井兄様の弱ってる姿をみて喜んで良いのは私」


「それでアンゲロスさんの相談とは何でしょうか?」

ここはもう聞き流そう


「私は世界創生には関わってない兄様と力が被ってるから。兄様とは一緒。私と兄様は一心同体。運命!」

何故か前の質問の答えを答えられる。というか聞いてたんだ


「アレスさんと一緒なんですね。ではお兄様の力になりたいでしょうか?」


「兄様に力は要らない。側にいたい」


「側にいたいとはアレスさんの世界ででしょうか?」


「この世界」


「この世界でアレスさんと側にいたいんですか?」


「人間の男は理解が悪い。察して」


アンゲロスさんの雰囲気が変わる。

聞くのは終わりということみたいだ。

どうせ俺は察しが悪いですよ。どうとれば良いんだ

アレスさんの創生世界ではなくこの世界

この世界って言っても会社で派遣されるアレスさんしか知らないしな。

兄様好き。側にいたい。

アレスさんの派遣先で一緒に働きたいということか

それを俺から提案しろということかな

なんでアンゲロスさんから言わないんだ

乙女心とかかな。分からん

とりあえず言ってみるか

「アンゲロスさん兄のアレスさんも派遣先で仕事大変みたいです」


「兄様が大変。心苦しい」

アンゲロスさんが期待に満ちた目でこちらをみる。

どおやら方向性があってるようだ続けよう


「こちらの仕事も大変みたいなところ世界創生の仕事でも前に資料を渡したのですが手をつける暇がないみたいです」


「兄様世界を背負って心苦しい」

アンゲロスさんの瞳が更に期待に満ちる

やはり、そおいうことみたいだ。


「アンゲロスさんアレスさんを手助けしてくれませんか?」

これでどうだ


「駄目。兄様は立派な軍神。下手な助けは恥になる」

アンゲロスさんは顔を背けて流し目で俺を一瞬みる


なるほど。

だからアンゲロスさんから言わなかったのか。

俺から提案させて俺からお願いを更にこわれる。

そして兄様思いの妹が仕方なく動くという状況を欲してたようだ。

正直面倒くさい。

「そうですか残‥‥‥‥」



「兄様思いのアンゲロスさんお願いします。是非私のせいで忙しくなったアレスさんを助けてください。私の方からも会社に伝えておきます」


「あら、仕方ない。男の頼み。恥はかかせない」

笑顔で答えるアンゲロスさん


「ではよろしく。ありがとう安井」


そのまま会議室からアンゲロスさんが出ていくまで俺は一歩も動けなかった。


やはりホラーは駄目だ


意地悪をしようとした瞬間から長い髪からギョロとした瞳が俺を貫くのが脳裏から当面抜けることはないと思う。今日俺一人でお風呂入れるかな

彼女とヘスティア様の声が聞きたい!

俺はその日長電話をするのであった。




後日

俺はアンゲロスさんの約束を守り

アレスさんと同じ職場にアンゲロスさんが働くのが効率が良いと推すことになる。

向こうでも働き過ぎでアレスさんのことを心配してたのでアレスさんの仕事が減るのならと受理されることになる。

だがアレスさん結構遊び人らしく派遣先でも仕事の合間に浮き名を流していたようだ。

そこに兄様ラブの妹さんが来ることで女遊びも出来ず更に仕事を頼まれるようになったとか




補足

女神アンゲロス

ゼウスとヘラの娘

戦いを司る女神

アレスと共に付き添い事が多い女神

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