日誌5
レッツ!アオハル!
「青春してる?やすいっち!」
突然会議室3の戸を開けて現れた女神は保健室の先生のような白衣姿で現れた髪を短く切り揃えた女神である。
俺は反応出来ずに明るく光る女神から目を背ける。
俺には眩しすぎる。
ということで今日の相談者は青春の女神へーぺさん
青春以外にも出産も司り新しい命や情熱などエネルギッシュな女性です。
俺は熱い青春時代を過ごして来てないので苦手である
今も何故か椅子に座るのにハイタッチを求めてくる。
意味が分からない。
ハイと小さな声で応えて手を出す俺
強く拒否出来ず流れに乗るのは日本人の悪い癖だなと思うが今は相談前の始まりだ相手に合わせよう
仕方ないよないきなり光る女神に拒否はできない。
「やすいっちは今が青春なんだね。お姉さん感じるよアオハル力!」
「なんですかアオハル力って?」
しまった、つい突っ込んでしまった。
「フフン、気になるよねアオハル力」
「すいません、やはりイイです」
面倒くさいことになりそうなので、ここは回避せねば
「説明してあげる。アオハル力ってのは青春なの。その人が青春してればお姉さんジンジン感じちゃうの」
「自分は見てのとおり冴えないおじさんなので青春なんてしてませんよ」
「青春に歳は関係ないわ。熱よ、そう情熱。溢れる青い炎なの。やすいっちからは、それを感じてお姉さんジンジンします」
椅子に座らず俺に近寄る女神さん。青春というより行動と言動から青いというよりピンクである。
「だから、しておりません」
「嘘はダメよ。やすいっち」
俺の正面に立ち顔を見据えてくる青春もといピンクの女神。俺は顔を背ける
「日本人は恥ずかしがり屋ね。私はアオハル力を感じたという事は最近あなたは目標に向かって頑張って来たという事。恥ずかしがる事はないわ。それはとても素晴らしいことなの」
俺は両手を前に出すと近づくヘーペさんから距離をとってもらう
「分かりました。ヘーペさんのいう通り最近自分もこの仕事を就くのに頑張りましたからね。それを認めてくれるというなら感謝します。ただ距離は離れてください」
「はーい」
素直にそういうと青春の女神さんは椅子に座ってくれたが「ウブなのね」と小さく呟いたのは俺は聞き逃しはしなかった。
コホン!
俺はわざと咳払いを一つする。
「え〜、ヘーペさんでイイですね?」
「そうよ青春の女神ヘーペよ。自己挨拶遅れたけど、よろしくネ!」
「よろしくお願いします安井です」
「でもこの国でヘーペという語感可愛くないわ。やすいっちもそう思わない?」
「いえ、そんな事ないと思いますが‥‥」
言われてみると日本ではヘーで始まり伸ばす感じは間が抜けた感じになるなと内心同意してしまう為最後に歯切れが悪くなる
「あら、やっぱりやすいっちも、そう思ってるじゃない。そうね、まずは私の名前を考えましょう」
「それが最初の相談なんですか?」
俺の歯切れの悪い言葉から真意を見抜き相談に持って行かれた。どうも最初から相手のペースで持って行かれてしまう。これが青春の力なのだろうか
「ええ、まず呼び方が大事よ。青春はあだ名から始まると言っても過言じゃないの。私は自分の信者はあだ名をつけてるの。なのに私が可愛くない名前なんてありえない!始まらないわ」
「始まらないとは?」
レッツ!アオハル
もう好きにしてください。
という事でヘーペさんの、こちらでのあだ名をつける相談から始まった。これでイイのか本当に
「ヘーペさんの希望はどんなものでしょうか?」
「そこはやすいっちが考えて欲しいの。だって私日本の可愛い名前なんてわからないもの」
「俺そおいうの苦手なんですが?」
「友達のあだ名を考えるのも青春だわ」
「俺はそんな青春は要らないです」
気がつくと自然と一人称が俺で相談者と話してしまっている。これがヘーペさんのチカラなのだろうか恐ろしい。だが名前を考えるまではラフな感じが都合がいいので、ここは合わせよう。
「水商売の方みたく源氏名で例えばアイカとか可愛い名前を名乗るのはダメなのですか?」
「ダメよ!そんなの愛がないわ。それに私に関わりないじゃない。アオハル力を感じないと私満足できないわ」
「ではヘーペさんは普段どんな仕事をされてるんですか?」
面倒くさいが仕方ない。彼女の仕事などを聞いて関係あることから考えよう
「私の仕事変わったこと聞くのね。天界では宴会の席用のお酒を管理してたわ。宴ではお酌をついでまわっていたわね」
「なるほど宴会などでおもてなしをしていたんですね。ではヘーペさんであれば人気あったでしょうがあだ名はあったのでしょうか?」
とりあえずヘーペさんのマイペースで明るい女神である。宴会の席では人気者であっただろうし皆から呼ばれていたあだ名ぐらいあるだろうそれを参考にしよう
「ないわよ。あっても天界での呼び方はこちらでは合わないわ」
どおやら向こうでの呼び方はこちらでは気に入らないのか
「こちらの会社では何をされてるんですか?」
「こちらでは宴会でお酒を出す人をコンパニオンと言うんでしょう。私のお酌したお酒は秘密だけど少し若返りの効果があって人気なのよ。歌って踊れるし。いくらでも盛り上げちゃうわよ」
自信ありげに胸を張るヘーペさん。確かに宴会の席にこんな明るく芸達者な女性がいたら、さぞかし盛り上がるだろう。
コンパニオン
ヘーペ
青春
お酒
それらから連想してあだ名が難しいな
「シンプルにへっちゃんはどうですか?」
即座にバツを両手でされる。やはりへがダメなのか
コンチャンも駄目だろうしな。悩むな
「やすいっちフィーリングよ、名前なんて難しく考えちゃ駄目よ。考えるな感じるんだ!という名言があるでしょう」
それは黄色いジャージのおじさんの言葉で関係ないです。とりあえず可愛い日本語のはじまりはアが多い気がする。ならアオハルの女神だからアオちゃん?
ちょっと男の子ぽいかな。
「アッちゃんはどうでしゃうか?」
「響かないわ」
「アオハル娘」
「馬鹿にしてるわね」
へか難しいな。うん?考えてみたらヘスティアさんもヘラさんも向こうの神はへが多いな。という事は次のペがまのぬけた感じを与えるのかな。
へを残して青春たくっつけてヘハルさん。可愛くない
へを残してヘパニオン!呪文かな?
駄目だ俺は才能がない
「すいませんヘーペさん俺にはあだ名をつけるセンスがないみたいです!」
「諦めないで先生はやすいっちを見捨てないから」
「ヘイぺ先生!」
俺は彼女の出す空間にいつのまにか飲み込まれていた
「へイペ先生良いわね!」
「はい?」
俺は間抜けな声を出す
「先生呼びされるのはビンビン来ちゃうわ。ヘーペ、ヘイペ、アオハル、そうね来たわ。アオ先生と呼んで見て」
「アオ先生!」
俺は素直にヘーペさんの言葉に応じる
「近いわ、やすいっち!私を見て何か来ない!」
白衣の女神が椅子から立ち一回転ヒラリと舞をする
「保健の先生」
「それよ保健のアオ先生よ!それでいきましょう」
「「保健のアオ先生」」
俺とヘーペさんの声が重なる
「いいわアオハル力を感じるは早速広げないとね。やすいっち。閃いたわ。またねー」
そう言って保健のアオ先生は帰って行った。
相談それでいいの?
◇◇◇◇
後日
ヘーペさんの見守る世界では学校教育が進みそこには新しく保健の先生が在籍することになった。青春が尊いとされる世界において生傷が絶えない学生達。保健の先生が青春で怪我をする子供達を熱く見守り時には鼓舞することもある。若い男性は思春期の性を保健の先生に感じ若い女性は性の悩みを相談する場所としてアオハル力が渦巻く環境になったとか
合言葉は
レッツ!アオハル
補足
女神ヘーペー
ゼウスとヘラの娘
ヘーペは若さと青春を意味し
青春が神格化された女神
神々が宴会する時の給仕係
可愛さ故に母ヘラから溺愛される