色がつく世界
高嶺さんが戻り俺の番になる
戻ってきた高嶺さんは今ではすっかり普段通りの彼女である
では安井さんですね本日はよろしくお願いします。
早速ですが本日はどんなご相談で来られましたか
はい、実は‥‥
何に俺は悩んでいる
悩みは俺の得意分野だろ
得意の、何とかなるの精神で話しかけろ
言葉が出ない
高嶺さんは先程真摯にやってくれた俺が適当にして言い訳がない
俺は俺は、
人生に迷ってます!
だあ〜何を言ってるんだ俺は
顔が赤くなるのが分かる高嶺さんの顔をみる
不思議と優しく微笑んでいる
人生に迷っているといくのですね。いつからですか?
いつから?俺はいつから迷っているんだ!?
良かったら経歴を聞かせてもらえますか?
俺は安井家の長男に生まれた。
実家はここから、そんなに遠くない
姉が一人いる。親も両親とも健在だ
家はそんなに裕福ではないが生活に困るほど貧乏という訳ではない。26の時一人暮らしを始めて今も同じアパートに住んでいる
就職は苦労して雇って貰った会社もおりわるく世界的不況の波に巻き込まれて、呆気なく倒産。
その後は派遣会社に登録しながら正社員の道を探していた。
今考えれば実家に戻るという選択肢もあったのかもしれない。
今思うと何をムキになっていたのだろうか
思い返すと生活に追われる日々であった
生活、お金である
派遣会社で働いて稼げる額は月の生活費で消えていくため切り詰めた生活を常に余儀なくされていた
将来設計なんて考えてなかった
とりあえず正社員になればと考えていただけだ
正社員になった今も昔と同じく日々に追われている
別に時間がない訳ではなく
ただ漫然と追われていたように思える
彼女なんて考える余裕はなかった
結婚なんて更に無理だろうと
俺は我慢強い人間だと思っていた
いや、ただ諦めてるだけなんだと認める
そう悩み
沢山あるさ
お金
結婚
友人
趣味
家
健康
含めて未来だ
満たされてることはある
大事なことはあつい想い
違うな、
諦めていた弱い自分を蹴飛ばして歩く事
未来を語れる自分になること
それが悩み
相談内容
高嶺さんにどお話したかわからない
ただ羅列的に、一方的に話してしまった。
ダムが決壊したかのような勢いだ
自分で止められるなかった。
高嶺さんの顔を見れない
俺は年上らしく振る舞いと考えて子供の様にはなしてしまった、
安井さんは今初めて人生の将来を見据えられてるのですね素晴らしい事です!
俺は顔をあげ彼女、高嶺さんの顔をみる
俺の顔を強く見据えていた
負けたな、これは
勝ち負けではないけど
はい!今将来を語れる男になりたいというのが相談内容です。
では、どんな将来になりたいか話していきましょうか?
そんな話してよろしいのでしょうか?
ええ、勿論です。一緒に考えていきましょう。
よろしくお願いします
では、まずは10年後どうなっていたいですか?
10年後か俺も50歳になる
体も今ほど動かないだろう
現在の仕事を続けても体は問題ないが生活的に厳しい
なら転職もしくは他の稼ぐ手段を見つけておくべきだろう
諦めない自分の10年後を語るんだ
家庭を持って
家を持ち子供も欲しいです。
良いですね、では奥さんはどんな人ですか?
嫁?そうか結婚して子供もいるんだ嫁も想像するんだ
理想なんだから、思いっきり美人がいいかな
どんな美人だ。アイドルやモデルはよく分からない
身近で美人と言えば
先程の平良さんアテナさん、そして‥‥高嶺さん
性格はどうだ
美人でも性格がキツイ人は無理だ
優しくて気がきく女性がいい。
それに、どんな人がいいかな
やはり話があう女性がいい
普段からふざけた事を言い合えるような仲が続くといいな。
身近でならヘスティアさんとか‥‥高嶺さん
うん?!
俺の理想の女性が高嶺さんになってきている
ヤバい意識してしまう
えっ!
理想の嫁は、あなたです
なんて言えない
優しく、いつでも夫婦仲がいい関係ができる相手が希望です
夫婦仲良く過ごせる相手ですね。そんなら関係私も憧れます。では、どんな家が希望ですか?
つい40で家が欲しいと嫁より非現実的な事を言ってしまった。だが嫁と子供もいるんだ子供の部屋は独立して欲しいな。犬も飼いたい
郊外でもいいので小さい庭がある家がいいかな
庭付きの家いいですね
ではお仕事はどうですか?
仕事か正直自分には自信がないだけど自信があったなら
キャリアコンサルタントGの資格で生計をたてていきたいです
ふふ、なら私と仲間でありライバルですね
高嶺さんはニッコリ微笑む
なら少し時間が戻って5年後には順番してないとなれないですね
頑張ります
いい返事です。まずは彼女から作りませんか?
そうですね彼女から欲しいです
高嶺さんが俺をジト目でみる
頭の後ろから小さく頑張れ!と聞こえる
幻聴だろうか
話しすぎたのか舌のねが乾く
手先が緊張して細く震える
先程まで上手く話せたのに声が出ない
俺は今何を考えてる
善意で来てくれてる女性に迷惑をかけるきか
諦めることになれた自分が理想を語った時から想いを止められない
あ、あのう
はい
実は自分は年甲斐もなく彼女が欲しくなりました
はい
こんなこというのは迷惑だと思います
だけど言わないと自分は将来後悔すると思います
は、はい
後ろの、頑張れ。という声が心なしか大きくなる
高嶺さん付き合ってください!
【はい!】
その肯定の声を聞いた時
灰色の世界に色がついた。
俺は今まで、こんなカラフルな世界に気づかず生きてきていたのか!
知らない間に高嶺さんの手を掴んでいた
「その付き合うというのは恋人になりたいということなんですよ!大丈夫なんですか」
「はい!私は安井 芳雄さんと恋人になります」
俺は涙をながしていた
なんの涙だ
高嶺さんが俺の頭を優しく包む
フフン!
本当手のかかる二人ね
私のようなお姉様がいないと何もできないのだから
とりあえず言っとくわ
おめでとうお二人さん
幼女の影はふらりと二人から離れていった
その日俺は高嶺さんと付き合うことになった。
少し長くなったので
前後編になりました
モノクロ映画が最後にセリフでカラーになるイメージで
最後にだけ「」がついてます