ヘスティアの憂鬱
バイオリンの音楽が流れる
本日の主役は
女神ヘスティア
クロノスとレアから生まれた長女
職能として炉を守る家庭の女神
心優しく淑女な面を持つ彼女
全ての家庭を優しい火で包み込む女神
そんな彼女には皆から思われるイメージと真逆な仕事がある
それはアイドル活動である
では、そんな彼女の1日を見てみよう
彼女の朝は遅い
何故なら遅くまで各家庭の炉を見守っているからだ
皆が寝静まるころ
彼女もまた静かに眠りにつく
それは全ての家庭を見守る。
その眼差しは子供を慈しむ母の様であった。
処女神たる彼女にとって全ての家庭の火が子供と同じく愛おしいのだ。
なんて麗しく美しい女神なのであろうか
あ〜どこまでも儚い女神
ぺターン!
ヘスティアは頭をはたかれる。
いたーい!
「何をやってるのヘスティアちゃん!」
高嶺はレッスンをサボって部屋でお菓子を食べるヘスティアを軽くはたいたのだった。
ヘスティアは最近覚えた携帯での動画撮影と編集にハマっており有名な時の人を追いかける番組を真似て作るのがマイブームであった。
「高嶺、もおレッスンは、あきあきなのだ!
アイドルなんて辞めたいのだ!」
「駄目よヘスティアちゃん人が一番危険なのは人気者を中途半端にやめた時よ!」
「私は女神なのだ!」
「女神でも一緒よ、元アイドルという肩書きが変な男を更に呼び寄せるの、ヘスティアちゃんは、それでいいの?」
「そんな事言ったら、いつまでも辞められ無いのだ」
「違うわよ。中途半端だから駄目なのトップを目指してトップを取るのよ!みんなから認められるトップを取れば中途半端な男なんてよってはこれないわ」
「その話では中途半端な男以外がよるではないか!」
「何度も説明したでしょう。伝説になれば、無理してよってくる男なんていないわ。だからトップアイドルになるのよ」
「トップアイドルなんて、要らない。お菓子を満足に食べれないなら前の方がマシなの!」
「本当にそう思ってるの?」
・
・
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「ごめんなさい高嶺、前より今の方が正直楽しいの」
「ううん、少し厳しくしてたわ、ごめんなさいヘスティア様、私も少し甘えてたみたい」
「では、お菓子タイムのアップとレッスンの縮小を要求するわ」
「そうね‥‥焦るのも良くないわね。
考えるわ」
「やったー!今日のお菓子はチョコレートがかかったドーナツを所望するわ」
「はい、はい、だけど終わったら、ちゃんと連絡して新曲を仕上げましょうね」
「任せるの」
ヘスティアはドーナツを口いっぱいにほうばる。
そして一瞬の幸せを感じながら考える。
何故こうなってしまったのかと
少し前までは頼りない男
安井の家に用もなく遊びに行ってゲームやお菓子を覚えてしまい堕落した生活をしていた
高嶺に相談してアイドル活動をすることになったが
ヘスティアを応援してくれてる団体が色んなセッティングをしてくれたお陰で思いの外早くソロコンサートを行うことになった。
実の所ヘスティアは、そんなアイドル活動に前向きではなかったし効果の程は期待していなかった。
安井の、相談の件も普段引きこもり気味のヘスティアは外にでなければ問題ないぐらいで考えいた。
だが、どうも実際アイドル活動をしてから周囲の目というか雰囲気が変わっていたのが分かってきた。
それはいい意味で変わっていた
周囲の男性に緊張の様なものを感じ無闇にヘスティアに近づかなくなってきたし
普段ヘスティアを軽く扱う女神達が好奇の目だが一部嫉妬が混じっていた、
ヘスティアはアイドル活動が無駄ではないと分かってきたのだが‥‥
高嶺がいつのまにかプロデューサーになっていた。
高嶺はヘスティアより熱意を持って行動していた。
それは完全に善意だと思うのだが一部ファンから感じる絡みつく視線を高嶺から感じることもあり怖くなる時もあるヘスティアであった、
今までよく安井のとこに遊びに行ったがアイドル活動を増やしてからは行く事は減らしていた、
安井に迷惑がかかるといけないと考えてだ
アイドルとして男性をノーと公表してるからには人とはいえファンの一人を特別にする訳にはいかなかった
だが安井は、気づいていないがヘスティアから渡されたカードには仕掛けがあり安井がそのカードで、どれだけヘスティアの動画をみて
ヘスティアに祈ってるのか分かるのである
信者としてファンとして、可愛いやつだとヘスティアは思う
そんな可愛いファンに新しい歌を届けるのが
アイドルの仕事よね
高嶺はたまに怖いけど
普段は優しく甘いものをくれて
とても良い友人になってくれる
始めた理由はそこまで強くないけど
応援してくれるなら
ヘスティアは笑顔を見せてあげるし
皆に火をつけてあげるわ
でも次は何を食べようかしら
人の世界は美味しいものが多くて
迷いが多いわ
「さあ、高嶺次はホットケーキをご所望よ
ハチミツたっぷりにね」