アテナの思惑
アテナは安井を品定めする.。
そして思案する。
ポセイドンは何故配下に疑惑を・・
人の知恵とはなにか?
安井とは何者なのか?
ポセイドンとの関係は
頼りない見た目である。少なくとも戦士ではない。もちろん覇気を一切感じない。
つまり、どこにでもいる一般の人である。
アテナの関心をかう要素は今のところはない。
アテナは処女神である。それはヘスティアとは違い誓いをしたわけではない。勘違いされることがあるが別に男が苦手でも嫌いではない、むしろ武に生きる男は好ましく思ってる。
ただ男が女に欲情する感情、視線、行動を蔑視している。
好みの男がいれば結婚したいかと言えば特に思わないし考えたこともない。だからといって女性が好きかといったらそうでもない。
性的な事が嫌いなのであるし
誰かのものになるとかそんな考えは一切なかった。
戦いに生きると決めてるのである。
アテナの直接の配下はアテナ自身が手塩にかけて育てた武に命を捧げる者達である。それらの配下は男であっても側に仕えさせていた。
その様な手塩にかけた配下。
様々な戦場にて命を預けあった配下を疑うなどしたくなかった。
ポセイドンの迷いごとと一笑に付したかった。
だが戦いに生きる神は戦いに関しては予知じみた直感を持つ。
ポセイドンが嫌がらせや策謀の一つで、そんな事するわけがなく、そんな考えは直ぐにすてる。
あえて忠告の様なものを好敵手にしてくる意図を考える。
戦いに生きるものは争いの種は別に嫌いというわけではない。その種がいずれ戦いの場に自らを誘うからだ。だからと言って好きなんで血を好むわけではない、戦いは選ぶのだ。
自らが正義と信じる戦いを望むのだ。
その正義に殉じて斃れることを最終的に望むのだ。
アテナは勝利を望むが、その死を頭のひとすみにだが望んでいる。
誰かに意図された戦いは正義とは言えず、その戦いの死は理想から離れる。決して望むものではない。
だが戦いは一方が拒否しても、もう一方が望めば起こることもある。
小さな、いざこざも気づけば大きな大火となり、全てを焼き尽くす事がある。
ポセイドンも同じく考えてるということだ。
気づいているのだ。
己の陣営だけではダメだと
だが、誰が混沌の種子となってるかは分からない以上
配下に相談出来ない。
それが原因に更なる不和を陣営に入れられる可能性があるからだ。
他の神に頼る?
真っ先に思い浮かぶは父、ゼウス
駄目だ。すぐに否定する
ゼウスはアテナを溺愛してる為事を大きくしてしまう。
それに謀などには強くないのだ。
では義理の母であるがヘラはどうだ?考えに至る。ヘラとは仲が良く実の娘の様に可愛がってもらっている。そのヘラであれば地位的に世情に聡く謀も強い、その考えにうつるがゼウスに隠れて会うのは難しい。
やはりアテナは目立つ為、天界で誰かに会うにしても動きがバレてしまう。
今は出来る限りアテナの動きをバレたくない。
しかし単純で脳みそが筋肉で出来ていると思ってた叔父ポセイドンの方が謀事などに適性あることに今更驚く。
今までの姿は仮初、演じていたのかと
いや、そんなことはない。
では何故変わった。変わったというより本来の思考に戻ったのかもしれない。
あの人の話を聞かない神が人の声を聞いた。もしくは影響を受けた。
分からない。
何にしても目の前の人物にヒントがあるのだろうか
アテナは見つめる。
アテナと目が合うと、何を考えてるのかわからない笑をする。
アテナの好む顔ではない。
アテナの好む顔は死に臨み笑う戦士の顔である。
アテナは微笑む。
今度は少し顔を赤くして目線をずらして卑屈な笑を浮かべる。
男は大体みなアテナが微笑むと感激して感涙したり鼻の下を伸ばしたり大きく反応するのだが、目の前の男は少しアテナが思うより反応が薄かった。
それもアテナの好む顔ではない。
今のところアテナは正直大きく期待を外れていた。
ポセイドンがおす人間である。
きっと勇者であると
もしくは賢者だと
昔からひとのみでも神に値する力を持つものは歴史的に存在する。
それに至る人間だと想像して日本に来たのだ
初めて安井に僅かに残るポセイドンの残滓とサインをつけられた男性を見た時、人違いではないかと思ったのだが本人に、話かけるとポセイドンに心当たりがあるというのである、
そこでアテナは気づく。
そうかこの男は案内人なのだとポセイドンに認められた人物を知る人なのだと、それなら覇気がなくても納得すると安心する。
この様な男性がアテナの望む賢者ではないと。