アテナ来日
ここは聖域
ゼウスがすべる世界の人界において神が顕在を許される数少ない神の一柱、女神アテナが治る地である
日々アテナを戦いの神とあがめ、アテナの下に武を極めんとする人々が集う世界有数の武の聖地
日夜生死をかけた武の中に生きる武人の修練場でもある。
そんな聖域の奥、一部の認められた者しか立ち入りする事が許されぬ神聖な宮殿。神の住まう宮殿にて謁見の間があり、そこに一人の美しい女神が玉座に鎮座していた。
玉座にて頬杖をつく美しい女神があからさまに嫌な顔をして謁見の場にひかえるべき立場の使者を見ている
目の前には空を浮かぶイルカ
書簡を咥えている
イルカが示すのはある神ひとり
つまりアテナからみて叔父である海神ポセイドンである
ポセイドンが何用かと考え悩むアテナ
ポセイドンとアテナはどこまでも気が合わないし話が合わない
男性嫌いなアテナに強引に男の良さを知らしめようと聖域にアテナ不在の時を見計らい勝手に侵入して恋人の逢瀬の場に使われたのだ。使用されたのはアテナの寝所である。結果更にアテナの男性不信が進んだのだった。
ある時は発展してきた島から国として成り立つために守護神になって欲しいと依頼があり守護を司るアテナは快く承知したが、その話しを聞きつけた海神ポセイドンは島であるなら海の神の俺の方が力になると突然話に横槍を入れてきた。結局島の民に決めてもらうことになり島の民の為アテナは色々尽力して勝利する事ができた。だがその後ポセイドンはなかなか結果を受け入れず手を焼かされたのは今でも思い出すと腹が立つのであった。
ゼウスにポセイドンのことを言っても普段はアテナのことを溺愛し頼みを聞いてくれるのだが、そんなアテナに甘々なゼウスもポセイドンには気を使うらしく、あまり肩を持ってくれないでいた。
他にもポセイドンとは小さな小競り合いの様な事がおこり、最近ではお互いの配下が力をぶつけ合う大会を行い直接な接触は避けていた。
普段のポセイドンの行いはアテナに対する嫌がらせなのか叔父さんなりの思いやりなのかは全く分からないが何をしても迷惑であり面倒な相手であり、できる限り関わりたくたくないと思うことは間違いない相手である
アテナとはただただ話が合わないと言うことは事実であった。
ポセイドンはアテナをどう思ってるのか分からない。ゼウスの寵愛を受け嫉妬されることはある。だがポセイドンは違う。ではそゼウスの座を脅かすと考え見張ってるのだろうか、何にしても様々なかたちで闘いをアテナに望むというところで困った相手である。
そんなアテナにとって迷惑な神からの使者が、あからさまに誰もいない時を見計らい現れた。
そしてイルカはポセイドンが個人的に大事な書簡を渡すときに送る使者?イルカである。
そんな意味深なポセイドンからの書簡である
受け取りたくないと言うのが本心である。
だがアテナは戦いの神である
いつでも闘いを正面から受けてきた
常にどんな相手にも勝利してきた
意を決して書簡をイルカより受け取る
書簡を読むアテナ
読み終えるとアテナは書簡を燃やす
◇◇◇◇◇◇
俺こと安井は今日は賑やかな人が沢山行き交う中心街に来ていた。
普段賑やかなとこに仕事でなければ来ないのだが休日の昼間から来ていた。
修了試験が終わり本試験までは時間が少し空くのだが今度の休日高嶺さんと直接会うことになったのだ。
修了試験が無事終わった後高嶺さんと電話で話していると本試験は実際は対面でする為ネットでは分かりづらいですねと言う話になり直接対面して練習したいですね。という話になったのだ聞いたら高嶺さんは自分とは電車で1時間程の距離でそこまで離れてない事がわかり今度会いましょうとなったのだ。
それからの俺は興奮したのだが次に冷静になり、どこで会うのか服装はどうしよう
などと悩みスーツでいいと思うが少し私服を見直すことにした。
駄目だオッサン臭いか逆に昔の時代遅れの服しかないときずき。服を見に来たのだった。
そんなことで歩き慣れない街を歩く
俺は街中で美人に声をかけられる
最初は人違いか思い通り過ぎるが手を掴まれる
顔を正面から見て
俺は正直ドギマギする
とても髪が煌めく赤髪の気の強そうな女性だ背は俺と同じくそれより高く、カッコいいという言葉が似合う美人だ
参った。どうみても外国の方だ、俺に聞かれても言葉は分からない。
戸惑う俺に彼女は
「失礼、あなたもしかしてヤスイと名前かしら?」
「ええそうです。どおして俺の名前を」
俺は怪訝な顔をする
日本語にも驚いた
何よりこんな美人が俺の名前を出したことに驚いた
何かの詐欺だろうか、
美人声をかけられて鼻の下をのばすところだが不信感がのぼる
「私の名前はアテナ。ポセイドンに心当たりあるかしら」
・・・
「‥‥心当たりありそうね」
俺はポセイドンさんの名前を聞いて、どうやら嫌そうな顔をしていたみたいだ
「すいませんアテナさんですかポセイドンさんとは、どおいう関係ですか?
「フフ、あなた合格よ」
「合格?どおいうことでしょうか」
「ポセイドンの名を出して嫌そうな顔をしたってことは嫌いなのね」
「すいません嫌いではないです。ただ、その話が合わないと言うか‥‥」
俺は慌てて言い訳を考えるポセイドンさんに無茶ぶりされたかといって神様に失礼すぎる
「話が合わない、つまり私と一緒よ」
俺は混乱する。ポセイドンさんの名前を出した美人がポセイドンさんと合わないから一緒だと言う、どおいう状況なのだろうか
「私から見てポセイドンはそうね、分かりやすく言うと叔父になるのだけど、いつも争っている。気が合わない。正直に言うと大っ嫌いなおじさんよ!」
背の高い美人が吐き捨てる様に言ったが映画の、ワンシーンの様にカッコよく見える。少し見惚れていた
うん、ポセイドンさんと血が繋がっていて何度か争ったアテナさん最近聞いた様な
「えっー!アテナさん神様ですか!」
俺は大声叫んでしまう。
周りの通行人が俺とアテナさんを見る。 その目はそのままアテナさんの美貌に釘付けになる。きっとモデルさんと、そのファンだったと思うだろう。
俺は慌てて口を塞ぐ
「ここでは話ずらいわ。どこかカフェでも入らないかしら」
俺は大きく頷くと赤面しながら早足でカフェにありそうな場所へ向かうアテナさんは黙って後ろからついてきた。
◇◇◇◇◇◇
近くに世界的なら有名なカフェがあり、そこの奥に席が空いており二人対面で座る
「先程は大声を出してしまい申し訳ないです。確認ですが神様でよろしいでしょうか」
「ええ、そうよ」
「確か神様は地上にこれないと聞きましたかアテナさん、いや、アテナ様はどおして人間の世界に」
「私はゼウスから生まれて人の世を守る為色々な恩恵があるの。地上を守るのも責務の一つよ。でも安井でよかったかしら、あなた何故知ってるの?」
「安井で結構です。今まであった神様は地上で会うのは制約で無理だとおっしゃってたので驚きました」
「フフ確かにそうね。私は特別なのよ」
どうやらアテナ様は特別という言葉に反応して機嫌が良くなる。特別な事が好きみたいだ
「それでアテナ様は何故私に会いに」
「あなたに興味があるから」
美人にあなたに興味がある
人生で一度は言われたいセリフである。
ドキドキする。
「興味とは?」
緊張のあまり言葉がうわずる
緊張してるのがバレなかっただろうか顔が赤面する
オッサンといえど女性経験が少ないのだ美人と対面したら緊張するのは当然のことだ
「あなた、ポセイドン以外と誰と話をしたの?」
アテナさんは更に質問で返す
どおしよう正直に言うべきか悩む。
恐らくポセイドンさんとの事が関わってらみたいだがゼウスさんや、ヘスティアさん、ハーデスさんとのことは知らなさそうだし。もしかしたら俺のこともポセイドンさんの相談相手ぐらいに思ってるなら説明しない方がいいのではと頭によぎる
「そう、思慮深いのね。フン、私と話して訝しむなんて」
「それで興味があると言うのは」
「この前気の合わない叔父から書簡が来たの。気が進まないけど受け取って手紙を読んだら、なんて書いてあったと思う?」
アテナ様は俺に逆に話を振ってくる。あのポセイドンさんのことである。想像したくないな
「決闘状とかですか」
俺は恐る恐る答える
「違うわ」
違ったみたいだ。他になんだ、女性が好きそうだから
「ラブレターですか?」
「あなた愚かね。私の勘違いなのかしら」
また間違えた恥ずかしい。罵られて白い目で見られる
どおやらお眼鏡にかなわなかったみたいだ
何故だか罵ってほしくなる
そんな性癖俺にはないはずなのに
こんな時はヘスティアさんは思い浮かべる
ロリ女神様を浮かべて中和する
恐ろしい
「愚かな私に教えてもらっていいでしょうか?」
何故だが卑屈になってしまう。これはアテナさんの力なのか、それとも俺のうちなる宇宙なのか
「詫び状よ。中身を読んだら素直に謝ってないけどポセイドンの性格は分かってる。そんなポセイドンなりの謝罪文」
俺はポセイドンさんに感心した。俺との相談の後、顧みてアテナさんに謝ったのだ。俺はそんな事一言も言ってない。それはポセイドンさんが顧みてやった事だ。普通顧みても時間が経てば謝れないものだ。
ポセイドンさんはすごい人、いや神なのでは
「どうやら、あなたも予想外の様ね」
「はい、ポセイドンさんとは相談を聞きましたが、私の方からそんな話は一切しませんでしたしポセイドンさんからもそんな話しを聞いておりませんでしたので」
「だけど安井あなたと話して、あのポセイドンが変わった。これが私があなたに興味がある理由よ」
なるほど、あのポセイドンさんが変われば変わった相手に誰でも興味あるものだ争った相手なら当然だろう
だが俺はそんなに関係あるのだろうか
それに興味だけで日本に神様が来るだろうか
嫌な予感がする
また休日が飛んでいく様だ