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海神ポセイドンの悩み

 

 翌週になった。

 俺は憂鬱である。何故休みの日に楽しいスーパー銭湯に行くのに辛いのだろうか足が赴かない。が、気持ちを切り替えよう。これは初めての正式な仕事の予約であると、記念すべき日なんだと、そうとても記憶すべき日である。今までの突発的イベントの様な相談ではなく依頼があり次回仕事依頼を予約して報酬の約束もしている素晴らしい事じゃないか!

 ヤッホー!俺の本当の意味の初仕事だ!頑張るぞ!


 嘘です。


 やっぱりテンションは上がらないです

 またポセイドンさんと会うのは憂鬱である。この前話した感じでは会話が通じる感じがしない。しかも悩みが想像できない。せめて悩みがわかればとポセイドンで検索したが有名な割にエピソードが少なく、どんな神なのか不明なことが多く、先入観を持たない為にそれ以上深くは調べなかった。それに向こうの世界で会うのは怖い。ヘスティア様に相談しようかと思ったが、この一週間来られる事がなかった。どうやらアイドル活動が忙しい見たいだ。普段は勝手に部屋に訪れて勝手に俺のお菓子を食べる。そんな用もないのに普段怠けにきているロり女神、餌付けしているわけで決してない。が、こういう時に会えないのはタイミング悪いロリ女神であると少し悪態をつきたい。だが常にファンクラブカードをのぞいて新しいアイドル活動動画をチェックしているのは秘密だ。

 しかし、よくよく考えると何故向こうの世界での待ち合わせをしたのであろうか夢の中で会えないか聞けば良かった。この前は早く帰りたいので強引に切り上げる形にしたのが悪かったと反省するが後の祭り。

 やはり話す場の設定は自分のテンションにも関わるから気をつけよう。約束は約束破ると怖いのもあるが仕事である覚悟を決めるとスーツ姿でスーパー銭湯に入る。

 時間まで少し時間がある。休日のスーパー銭湯のロビーでスーツ姿で缶コーヒーを飲む俺、複雑な気持ちである。時計を見る時間が経つ



 世界が変わるこの前と同じ青い海の世界だ。目の前には腰布を巻いたポセイドンさんがいた。内心ため息を吐く、やはり呼ばれたか心の一部では夢であることを祈っていたが仕方ない。


「ポセイドン様おはようございます」


「うむ、安井も約束通りきた様だな。来なければ津波をおくるとこだったわ」


 豪快に笑うポセイドン様


 ‥‥神様ジョークだよね。

 怖い津波なんかきたら笑えない。俺のせいで皆に迷惑かけるわけにはいかない。


「ええ約束ですので。それで悩みは浮かびましたか?」


「俺は悩まないように生きてきた。そこで考えた悩みがないのが悩みなのだと」


 俺は頭が痛くなった。悪い予感は的中やはり悩みは想像外のがきた。悩みを考えてくるというのも変だが神と言えども悩みの一つぐらいあると思ったんだが


「ええと、では悩みがないのが悩みでよろしいでしょうか?」


「そうだ俺は悩みがない、それが今回の依頼内容だ」


「悩みがないのは素晴らしい事だと思います。なければそれで問題ないのではないのでしょうか?」


「ゼウスも、ハーデスも悩みがあったのだろうか、だったら俺もないとおかしいだろう」


 何故そこで張り合うのだろうか


「悩みとは永続的な物でなくその時、その時ある物です。ポセイドンさんは今はなくても過去やこれからの未来であるかもしれません。ないことは誰もが羨む良い状態の事なので特別に探さなくても良いと思いますが?」


「なるほど、安井の言う通りかもしれん、だが俺は相談するぞ」


 天を仰ぐ、やはり空は海の底幻想的だ、意味がわからんが美しい。

 ヨシ!話の目標地点を頑張って作ろう


「分かりましたポセイドンさんの悩みは悩みがない。つまり悩みを探すで良いでしょうか?」


「最初からそう言ってるだろう」


「はい、最初からそう言われています。ただ羨ましいことなので私に相談するのは必要ないかと思い何度も確認しました。申し訳ないです。では話を続けます」


「楽しみだな」


 ポセイドンさんが嬉しそうにしてる。悩み相談に来て嬉しそうにされてるのは占い気分で来られてるのだろうか、こっちは気に入らない占いをして王に斬られる占い師の気分である


「ポセイドンさん良かったら座って話しませんか立っていては、ゆっくり話せませんので」


 夢の中なら勝手に椅子とテーブルが出たんだが、ここでは不便である

 ポセイドンさんが手を挙げると珊瑚で出来た椅子とテーブルが出てくる。どおいう仕組みなのだろうか便利だが、この紅い珊瑚の椅子座るとすわりごごちが良かったが貧乏性な人間には少し落ち着かない。調度品というのは人と話す時大事なんだと気づく。これからはそおいうのも気をつけよう。客先では仕方ないが

 さて、何やら話せば、いや、聞けば良いのか、やはりポセイドンさんの人柄、この場合は神柄かも知らないが知っていくことから始めよう


「一つ聞きますがポセイドンさんは過去に悩まれた事がありますか?」


「俺は悩んだことなどない」


「では悩みとは、どおいうことだとお考えですか?」


「悩みなど弱いものがするものだ」


「では、ハーデスさんは弱いから悩まれるのでしょうか?」


「そうだ奴はいつもウジウジして暗いから弱いから悩む」


「なるほどウジウジして暗いから弱いので悩まれるのですね」


「そうだ」


「ではゼウスさんは何故悩まれるのですか?」


「ゼウスは強いから悩まない。ただ調停の仕事があるから悩むのだ」


「なるほど強いから悩まないのですね。ですが調停では悩まれると」


「そうだ」


「調停の仕事では何故悩まれるのですか?」


「これは強きものの使命、弱いものへの裁定はどちらの顔を立てるかで選択肢に悩むものだ」


「では強いものもまた悩まれるということなのですね」


「それは時としてだ個人として悩む時は俺の様に正義を選べば悩まない」


「正義とは、この前書きましたがお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「正義とは力だ、力あるものが正しいのだ」


「なるほどポセイドンさんは選ばなければならない時は力ある方を選ばれるのですね」


「そうだ」


「ゼウスさんには力があるから従っていると」


「そうだ」


「ポセイドンさんが仮に力が強かった場合はどうですか?」


「俺が神界をすべるだろう」


「なるほど、ではハーデスさんが一番力持っていたらハーデスさんに従うのですか?」


「有り得ん話だがそうだ」


「では仮定の話ですがポセイドンさんが神界をすべてるとします。その時調停の話があれば力で決めるのですか?」


「そうだ、それが俺のルールだ」


「それで神界が上手く回ると考えられてますか?」


「上手くいかんこともあるだろうがトップのルールは絶対だ」


「上手くいかないことあると言われましたが、何故上手くいかないこともあると思われるのですか?」


「それは力ないものは集まるからだ」


「集まるというと集団になるということでしょうか」


「そうだ弱いものは群れる事で力を発揮する」


「集団の力なんですね。それはポセイドンさんを上回ることはあるのでしょうか?」


「上回ることはない。だがそれに敗れたなら俺の力がそれまでだったということだ」


「集団の力をその時は認められるのですね」


「そうだ」


「では力の定義は個人と集団の力があるということですね」


「そうだ」


「力こそ正義ですので、個人の正義、集団の正義があるということでしょうか?」


「集団の正義か安井は変わったことを言うな。それと悩みとどう関係がある」


「直接関係はありません、ただポセイドンさんが言う正義はどこまで通用するのか聞きたかっただけです」


「なら俺も分かった。俺の正義は絶対ではないとな」


「話を変えますがポセイドンさんは過去にトラブルとか困った事はありますか?」


「トラブル、困った事だと」


「はい、誰かと争ったなどでも良いです」


「争ったか、そうだな俺は女神アテナとは何度も争ったが決着がつかん」


「女神アテナと争ったのですね、どんな事で争ったのですか?」


「俺は元々あのアテナが気に入らなかった」


「どう気に入らなかったのですか?」


「処女神で潔癖を装って男を見下している。だから少しイタズラしようと奴のいない時に奴の宮殿に忍び込んで恋人と逢瀬を楽しんでやったのだ。本来あるべき男と女の姿を残してやったのだ」


 うーん話を聞く限り、そんな嫌がらせを何故するのか問い詰めたい小一時間ほど問い詰めたいが話が脱線するし我慢だポセイドンさんが話を続ける。


「その後帰ってきた女神アテナは顔を真っ赤にして激怒していたが、その顔が最高であった。俺が男と言うものを見せてやったのだ感謝してほしいものだと考えていたらアテナ、あの女神どおしたと思う!あの女神は武の神だ、戦いの神だ文句があれば力で決着をつけるものだ、だから腹が立ったら俺に向かってきたら良いものを、その時いた俺の女メデューサを醜い怪物に変えやがった、なんて姑息で卑劣な女だ!」

 メデューサさんが可哀想という感想が最初にくる。


 神様は本当自由だ、これは神話だ深く今の考えで悩むな俺、なんとか答えを見つけねば


「女神アテネはどおしてポセイドンさんに直接当たらなかったのでしょうか?」


「それは奴が弱いからだ」


「ポセイドンさんは、それで女神アテナに復讐をしたのですか」


「小さな嫌がらせはたくさんしたが奴は手を出してこない」


「どおしてポセイドンさんからいかないのですか?」


「それはルールだからだ」


「ルール?」


「そうだ神といえど全面戦争になるには理由がある」


「なるほど今までの話では理由にならないと?」


「そうだ、神が動けば大地が裂け、沢山の神と人が死ぬからな」


「ポセイドンさんは、そおいうときは悩まないのですか?」


「俺にも分別はある。我慢と悩みは違う」


「我慢された訳ですね。他はどんなことされたんですか?」


「アテナが、ある島の守護神になる話があり俺は気に入らんから乱入した事がある」


「乱入、横槍を入れられたんですね」


「そうだ新しい国の守護神になって守ってほしいと言うなら、島ならアテナより力ある海の神である俺を祀るのが当然であろうと話に立って入ったのだ」


「新しい島の守護神に立候補を争われたのですね」


「そうだ俺は強いからな」


「どうなったのですか」


「島の王は優柔不断な男で俺の方がどう見ても強い神なのに最初にアテナに、声をかけた事に気を遣って国民に決めてもらうと言い出したのだ」


「どう決められたのですか?」


「力を見せてほしいと、どちらが島に相応しい加護があるかを見せてほしいとな」


 少し面白い話になってきたと俺はワクワクしてきた。

 実は少しネットで今日はポセイドンさんの神話が調べてきたので結果は知ってのだが本人から話を聞けるとは思ってなかった。


「俺は島の民に俺がどんなに偉大で凄い力を持ってるかを教えてやるために大地を裂き、そこに泉をわかせ川を作り出してやった。これは他の大地でやった時は皆涙ながらに感謝してくれるものだ。川からは魚が水は大地を潤し、生活が豊かになり大地を裂ける力に民は恐怖と尊敬をもち神を敬い恐れるものだとしるからだ」


 話を本人から聞く限りでは良く考えられている。ポセイドンさんの考えかたも悪くないかもしれない。


「凄い力ですね。ではアテナさんはどうされたんですか?」


「奴は島に木を植えただけだ」


「木だけですか?」


「そうだ奴はオリーブの木を島中に植えただけだ」


「では結果はどうなったんですか?」

「俺の負けだ」


「ポセイドンさんは潔く負けを認めてたのですね」


「それがルールだからな」


 ポセイドンさんの顔は顰めっ面になる。いまだにどうやら悔しいみたいだ。本当に当時素直に認めたのだろうか


「何故負けられたと思いますか?」


「奴は最初から向こうの民と組んでいたに違いない悔しいが俺はハメられたのだ」


 なるほど最初から決められていて嵌められたと思ってるから悔しそうにしてるのか。

 だが神話の世界初の神様のプレゼン対決は女神アテナに旗が上がったみたいだ確かにポセイドンさんが言う様に根回ししていた可能性があるが本当にそれだけだろうか


「どんな理由で民は決められたのですか?」


「オリーブという木は乾燥と寒さに強く海に接する島でも育ち木は強い海風と日差しから守ってくれる。実は油となり食事に潤いを冬の寒さには燃える事で暖かみを与えてくれることで耐える事ができるというのが民の言い分だ」


 話を聞くととても、その島にとって重宝する恵みのきである。


「話を聞くとその島にとってありがたい木ですね」


「だから根回ししてあったのだ」


「根回しと言いますが島の民から話を聞いていた訳ですね」


「そうだろう」


「話聞く限り普通の大陸ならポセイドンさんが勝っていたかもしれませんね」


「そうだろう俺の方が凄かろう」


「ですが島の人はオリーブの木を選ばれた」


 ポセイドンさんは嫌そうな顔になる


「ポセイドンさんは先程根回しと言いましたがポセイドンさんは住む人の悩みを聞かれましたか?」


「聞く必要などない人に俺の力を見せ加護を与える。それで人は俺に感謝する」


「なるほど大陸なら勝てたでしょうが島という環境では負けた。ということは女神アテナは住む人の悩みをきいて解決された訳ですね」


「そうかもしれん」


「ポセイドンさんは悩みがないと言いましたが悩みを持つものは弱いとですが弱きものの悩みを聞いた人に勝負に負けられた訳ですね」


 ポセイドンさんは顔に衝撃がわかりやくでた。


「俺が悩みを聞かなかったから負けた」


「そうとも言えます」


「悩みを持つものを馬鹿にしたていたが故に負けた」ポセイドンさんは独白するかの様に呟く

 俺は答えない

 俺は沈黙する。

 どうやらやっと答えが出そうだ



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