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アスフォルデの花


ハーデスは自らの行いを反省する

仮面を外した青年は自分の言葉で

ペルセポネに謝ると

愛していると伝える

そこに一輪の花を置いてゆく


翌日ペルセポネの元に訪れる

今回の件を謝罪する

愛を伝える

そこに一輪の花をおく


また翌日訪れると同じく頭を垂れ謝り

愛を伝える

そこに一輪の花をおく


季節が変わる


花の名は

アスフォルデ


ペルセポネの部屋は

アスフォルデの花でいっぱいになる


ペルセポネは花を愛でる


次第に一輪の花は花束になり一面に置かれていく


ペルセポネは最初は

つまらない花と顧みなかった。

だが

気がつくとその花を見るたび

ハーデスを思い出す

ハーデスは飽きずにくる

そして置かれる一輪の花


普通の野に咲く花

ハーデスであれば

ずっと枯れないという冥界の底にある花でも持ってこれるであろう

かつての彼であればその花を持ってきたであろう

そして力を誇示していくであろう


だが彼が誠実に頭をたれる謝罪と素朴な愛の言葉でおく花は

派手さもなく今の彼の様な

素朴な花


花の匂いをかぐ


それは彼の匂い


そんな日々が続くが終わる時が来た。


去る時が来たのだ


母が動いて神の総会にて総意がでる


ハーデスはペルセポネを冥界に閉じ込められなくなったのだ


寂しそうな顔をする彼


ハーデスの手には

冥府の果物


冥府の食べ物を食べることは冥府の住民になること


それは彼の最後のプロポーズ


最後の悪あがき


私はそれを受け取り少し口をつける


これが私の返信


あなたに対する答え


彼は驚いた顔と泣きそうな顔と嬉しそうな顔と

つまり可笑しな顔をしていた。


私は笑った。


暗い世界に一生いるなんて死んでも嫌


だけど一生ここまで愛されるなら人生の一部は預けてもいい


アスフォルデの花


花言葉は


私は君のもの


正直あまり縁起も見た目も好きじゃない


でも好きになる努力をしてもいいかも


花を置いた日々ぐらい、あなたと共に時間を過ごそう




やがて


人見知りな冥府の王の傍にそれを補佐する彼女の姿を

王に謁見する人々は見ることになる




神の時間軸と人の時間軸は少し違う設定です。

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