冥王ハーデスの悩み相談
つい前のノリを持ってきてしまった。
同じやり取りをヘスティアさんともした様な気がするが兄弟揃って色恋話をされても困るのである。
俺は嫁も彼女もいないし恋愛経験が少なく相談と言われてもよくわからない。
怒るハーデスさんに同じような問答をする
「他者の意見など要らん!それに貴様に言っても仕方ないが我は制約が多く他の人間と会うのは難しい。故に貴様との話を続けよう。できなければここにて暮らすことになるだけだ」
どうやら逃げ道はない様だ仕方ない、会話する事で掴めることもあるだろうしやれるだけやってみよう諦めて話にはいる。
「分かりました。では、引き続き私の方で頑張っていきます」
「悩みの相談は嫁さんと仲良くなりたいとのことで良いですね?」
「その通りだ」
「確認ですが、いつから仲が良くないのですか?」
「‥‥最初からだ」
「最初というとは結婚してからですか」
「‥‥そうだ」
困った。結婚当初からというとは想像外だ。
「ハーデスさんはお見合いされたんでしょうか?」
「違う」
「では、どうやって嫁さんと結婚したのですか?」
「嫁を無理やり天界より連れ去った」
更に困った。どうしよう?!
連れ去り結婚なんてネットニュースで遠い外国であると聞いた事あるだけだ。
そんな話が現実にあるなんて、いや神の世界では普通なのだと思いたいが、それなら悩むわけがないな
頭を抱えたい、何をどうアドバイスしろというのか
「強引に連れ去られたことに嫁さんは怒られてるのですね」
「そうだ口もまともに聞いてくれない」
当然だろう誰が人攫いと仲良くしてくれなどはしないだろう。
「この事を向こうの両親は知っているのですか?」
「俺は嫁の父であるゼウスに娘を貰い受けると伝えた!」
「では向こうの両親は承諾はしてるのですね?」
良かった少しはフォロー出来るところがあるのかと胸を撫で下ろす。
ダン!
ハーデスさんは激しくテーブルを叩く!
俺はビックとなる。恥ずかしい。急にやめて欲しいよ。そおいうの苦手なんです
「ゼウスめ!母親には私から言っておくという言葉を信じたのが失敗だった!嫁の母は怒って娘を返せと毎日抗議文が届いている」
ゼウスさん何やってんの!
親関係も上手くいってないじゃないか
どう見てもダメだと思うがまだ色々確認していかねば気持ちを奮い立たせて聞いていこう
「なるほど母親は納得いってないのですね。嫁さんはその事を知っているのですか?」
「知っておる」
「どおして、知っておられるのですか?」
「我が話した」
意外だった、強引に奪う人だから、そんな家族の都合の悪い話しを相手に話すように思ってなかった。
相談をしてくるし根は真面目な方なのだろうか
「嫁さんはなんて言われてるんですか」
「いずれ神の集会で話し合いが行われるわ、その時母が助けてくれるから、あなたとは結婚など絶対認めやしないと」
「どおして攫おうと思ったのですか?」
「最初我は嫁を冥府から見た時に電撃が走った。それからは嫁の事を考えるだけで胸が痛む呪いがかかった。それからは頭がおかしくなりそうな日々が続く、毎日胸が痛くて辛く、常に嫁の事が頭から離れない!そして気がつけば動いていた。どうしようもなかった」
「なるほど一目惚れから強い衝動を止めれなかったんですね」
「そうだ」
一目惚れからの強い想い俺には経験がないがとても辛いことなんだろうと察するが他に手はなかったのだろうか
「ゆっくり口説くことはできなかったんですか」
「我は冥府より出れんという制約がある。なので天界にいる嫁には話すこともできん!気持ちがとめれず強引に攫う形になった。嫁には悪いと思っている」
素直に謝罪の意を示すハーデスさん。
やはり根は素直な様だ
やっとあらましが分かってきた
一目惚れした相談者
攫われた嫁
納得しない嫁の母親
動かない父
離婚裁判待ちの嫁
離れたくない夫
本来なら相談者は悪い事をしている自覚がある為諭すのが筋だろうが、諭すのは残念ながらキャリアコンサルタントの仕事じゃない相談者が気づくことをするのが俺の役割だ、自分の役割と偉そうにいったが未熟なのは自覚している。その上で今回は何を気づけばいいのか、考えよう。うーん、サッパリ分からない
今回は外部に頼まない。誰が恋愛に強い人教えてください
男女間に疎い自分は叫びたかった。
恋はいつでもハリケーン