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霜が降りた朝
霜が降りた朝
道は白く輝いて
烏が一羽、木のてっぺんに止まって
初冬の空を見ていた
空気は凍ったように冷たくて
水たまりには初氷
白い吐息、白い湯気
全体的に、白い
白いは冬の色
空から降って、空の先へ行くもの
風と鳥と枯れ葉は
どこか似ている
彼方からの北風は
遠くオホーツク海からの手紙
流氷の流れ着く島々の
その先には白い雪の大地がある
冬の生まれる場所
枯れ葉のある道が続いて
吐息が続いて
道端の草むらには
透明な、氷の柱のミニチュア
こどもの頃はサクリサクリと
踏んでみるのが好きだった
その日のうちに
霜は消えるだろうか
蟻は今、地中にいて
何を思うんだろう




