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月夜の松
『月夜の松』
満月近くの月の夜
誰かに呼ばれた気がして
松のある広場へ
無人の通りを歩いて
松葉越しに観る月あかり
ほかには何もない道
きみだったの?
月はただ、照らすだけ
静かに、ただ静かに
『夜明け前』
夜明け前
星がひとつ山の端の上
明けていく東の空には
雲の光と影
上空には今
風が吹いているらしい
変わらないものはなく
それでも空は空だということも
変わらない
『五月だから』
野原に花が咲いた
それだけで嬉しくなるのは
五月だから
晴れた日に風が吹いた
それだけで元気になるのも
五月だから