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青い空のどこかから
青い、青い空のどこかから
新しく生まれた雲が流れていく
ゆっくり、ゆっくり
変化していきながら
蝉の声、風に木々が応えるように
葉影が揺れている
鳥の飛び立つ音がして
高い空には、鳥の影
手のひらを透かす、陽の光
世界は太陽光に満ちて
街路樹は濃緑に輝いている
今、この瞬間
新しい時間が生まれて流れていく
空の雲と同じように
天と地と人びとのなかに
風景のなかに
確かに流れているもの
手のうちに、瞬間をつかんだら
瞬間を手にして出ていこう
見えない機影のジェット音が
どこかから聞こえてきたら
夏の中にいる
自分を探しに




