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緑の街
緑の木々が揺れる
初夏の風の戯れ
若葉のように
明るい陽射しを浴びて
輝く道を歩きたい
颯爽と
それから立ち止まって
空の高さを見て
新鮮な空気を思い切り吸ってみたい
前は、世界は広くて
何かいいもののように思えて
何も考えずに全力で走るように
気づいたら通り過ぎていた
空の青さが視界に入らなかったのは
同じくらい青かったから
かもしれない
今なら風が通っていくのが分かる
腕を攫っていくのが楽しくて
新しい季節を全身で感じていたくて
新しい街を歩く
知らない道
知らない人びと
知っている風の色
手にしたものは
新しい何か
飛び立っていく鳥たちは
何も考えないように
わたしたちは
何も考えすぎないで
ただ生きればそれでいい




