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やかんの湯気
ある冬の朝のこと
起きたら熱っぽくて
測ってみたら37.8℃
どうりで目が回ると思いながら
寒気を上着を着込んで追い出して
やかんを火にかける
キッチンの窓には溶けていく霜
しゅんしゅん鳴るやかんから
湯気が湧き出て
白く立ち昇っていく
トポトポと注いで
夜明けのコーヒーの香りを嗅げば
朝日のさす食卓には
トーストが似合う
湯気を見ていると
前のことを思い出す
そういえばあの家には
花が活けてあった
陽だまりのベランダ
テーブルのこと
懐かしむのは後にしてきた
いろいろなこと
まだ寒気がして
ふとんをかぶって横になっていると
どこかから
ヒヨドリの声が聞こえてきて
目を閉じて
木に止まる小鳥の姿を思い浮かべて
よし、よし、と思っている
花粉症もあるんです。みなさまもお大事になさってくださいまし。ぺこり。




