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樹氷の夜
冬の道を行く
丘に向かう原生林の道
草の上は銀世界
天上から舞う雪は
風に吹かれて消えていく
世界が白くなる
冴えた風は
枯枝を凍らせるようで
凍らない
樹氷を育てるのは
雪の積もる原生林と
川の急流
夜に現れる星
プラネタリウムより多い
多く数えきれない
月のない夜空に
シリウスは明るく輝いて
息を誘う
登り坂の途中は
息があがる
寒さ極まる冬の夜は
思考はシンプルになる
透明になって
夜に溶けていけば
無限に広がる星空とつながって
リミッターが解放されていく
息を吐くほど
天上に近くなる
白い息を吐いて
丘の上に行けば
視界に広がるものは
白い森と
輝く星と
天と地をつないでいる
見えない何か




