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秋の夜、雨上がり
秋の夜、雨上がり
宇宙を映す
星だけの空がありました
波は静かに寄せていて
ただ静かに引きながら
さざなみだけが
寄せていて
その音はいつまでも
いつまでも聞こえるのでした
一日の終わりに
落日が明日の世界へ帰って
夜になると
潮が引いていく
そのときカシオペアの冴えた光は
風に瞬いては灯り
水平線の彼方には オリオンの煌めき
星を美しいと感じるのは
星あかりが心に灯るから
かもしれません
遠くの夜空には窓が開いて
遥か遠くの大星雲さえ
今なら手の届く距離にある
そんな錯覚をしそうな夜でしたから
その時、世界のどこかでは
新しい生命が生まれて
その同じ時、世界のどこかでは
夜汽車が天上を目指しているというのです
ひとりひとりの星があるのなら
どこかで今も静かに
輝いているのでしょう
誰も、気がつかなくても




