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彼岸花咲いた
台風の跡に
湿った草花の野を分け入った
昨年のこと
彼岸も過ぎた頃
秋の高い雲が流れる季節に
一輪の彼岸花が
赤く咲いていました
小川の岸辺に小さく揺れながら
赤い着物の少女のように
糸の細工のように
まなざしは空を見上げて
遥かなる日々を思いながら
風くるま、ふるふると
わらべうたでも歌いましょうか
萩に、なでしこ、オミナエシ
キキョウの後には、菊の花
今年も彼岸花が咲き始めました
咲き誇る日は近いでしょう
その日を過ぎて
いなくなったのは
誰だったのでしょう
あるいは
誰かがやってくるのでしょうか




