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ホタルの夜
水辺にすいーっと
滑っていく、小さな緑のあかり
点滅する草むら
無数のホタルたちが灯っていく
ぽう、ぽう、ぽう………。
夜空を映した水面に
木々の影、風に波立って、戻って
鏡の世界に、ホタルのあかり
二重になって響きあう
ぽう、ぽう、ぽう………。
重なるあかりは探している
水底の闇、月を隠す雲
呼んでいるのは光らないホタル
探して、探して、見つけた姫君
ぽう、ぽう、ぽう………。
葉から葉へ、藪から藪へ
夢のあかりが飛び交うなかを
歩いた道を思い出す
夏の始まりの宵の事




