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夜の眠りの前に
夜の眠りの前に
訪れるものの名前を知らない
外では風が吹いている
瞼を閉じて
呼吸をしていると
DNAに刻まれた
原生生物だった頃の記憶が
深い暗闇の水底へ
呼んでいる
降りていく
降りていくほどに
夜空の星のような
きらめく水の中に沈んで
青い闇を漂う
どこか
深い意識の世界へ
そこではなぜか
晴れた日の青い空を飛ぶ
一枚の凧のように
自由自在にありながら
街と街の境の
緑の風が吹く土地に降りて
雨水を浴びて芽吹く
一本の木となりたい
そんな願いを持っている
そうした夢を見て
翌朝には忘れている
それを繰り返して
朝が来て、一日が開けていく




