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紗和さんの気持ち

作中で紗和さんが主人公に

「戦争に行かないで」

と言っていますが、当時の教育などから、

当時の女性はこんな事は言わないと思います。



「おめでとう。」


さっきから、紗和さんは私の方を向いてくれません。


「紗和さん」

「な、なに…」

「さっきから、どうして目を見てくれへんの?」

「……」


紗和さんの顔を覗き込むと、彼女の目から涙が流れていました。


「!!」

「見んといて!!」


紗和さんは画材道具を持ち、

その場から走って立ち去ろうとしました。


「待って!!」


私は急いで追いかけました。

すぐに追い付き、彼女の腕を掴みました。

白く、細い腕。

私が思い切り掴んだら、折れてしまいそうでした。


「離してよ…!」

「紗和さん、どうして逃げるん!?」

「だって…!!」


「だって、これ以上昴さんといたら、言ったらあかんこと言っちゃいそうやもん!!」


大粒の涙が、彼女の頬を伝います。

私はそれをそっと拭いました。


「紗和さん、今ここには僕と君しかいない。紗和さんが泣いている所を見るの、

僕も辛いから、話してくれへん…?」

「……」


紗和さんは暫く黙っていましたが、

涙を流しながら顔を上げ、私の目を見て 言いました。


「私、昴さんが好き…!!」


「!!」


心臓がドキッと高鳴りました。


「だから、兵隊さんにならないで…!!

戦争に行かないで…!!」

「……」


まさか、紗和さんが私の事を好いてくれているとは思いませんでした。

正直、とても嬉しかったです。

今まで気が付きませんでしたが、

私も紗和さんをずっと前から好いていたのかも知れません。


「…………」


でも、私は紗和さんの願いを叶える事が出来ません。

どう返事をしたら良いのか分からず、

私は紗和さんを抱き締めました。


「!!」

「ありがとう。

僕も、紗和さんの事が好きや。」

「昴さ…」

「でも、君の願いは聞けへん。

ごめんなぁ……」

「………」


紗和さんも腕を伸ばして、私を抱き締めてくれました。

“紗和さんが愛しい。”

この時、私が心から思った事です。



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