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紗和目線の物語⑦

呼び鈴を鳴らすと、とても品のある美しい奥様が出て来ました。


「あ、もしかして伊藤紗和さん?」

「はい。今日からお世話になります。

伊藤紗和です。よろしくお願いします。」

「まぁ...!めっちゃ可愛い子...!!

待ってたんよ。さ、お部屋まで案内するわ。」

「(え、お部屋があるの!?)」


「...!!」


正直、物置で寝起きする生活でも全く問題ないと思っていたのですが...。


「ごめんなさいね。家具が中々揃わんくて。」


6畳ぐらいのお部屋に、布団と小さな机に座布団が敷いてありました。


「いえ!!こんな素敵なお部屋で生活出来るなんて思っていなかったので...!!」

「喜んでもらえて良かったわ。

好きに使ってええからね。」

「ありがとうございます...!!」


防空壕で過ごす事に慣れてしまった私には、十分過ぎるお部屋でした。



荷物を置き、お義母様(って呼び方も気が早すぎると思いますが)がお茶を淹れて下さりました。


「紗和ちゃん...で良いんかしら?」

「はい!」

「驚いたわぁ〜!昴がこんな可愛らしいお嬢さんとお付き合いしてるやなんて。」

「あ、ありがとうございます!」

「昴がこの前帰省した時に、紗和ちゃんの話を少し聞いたんよ。

『好きだと告白してくれたのは彼女だけど、今はもう自分の方が彼女に惚れ込んでいる』

って。」

「!!!」


昴さん、そんな風に思ってくれていただなんて...!!


「(あぁ、嬉しくて泣きそう...!!)」


でも、愛の強さは負けない自信がありますが...。

いや、きっと同じぐらい、お互いを愛しく思っているのでしょうね...!



「そうそう、昴には妹がいてね。

晴子って言うんやけど...

もうそろそろ帰って来る筈なんやけど。」

「ただいまー!!」

「あぁ、話をしていたら。

お帰り。晴子。」


私の目の前に現れたのは、黒くて綺麗な髪を1つに束ね、高い位置に結んでいる女の子。


「もしかして、お母さんが言ってた紗和さん?」

「伊藤紗和です。今日からここにお世話になります。」

「田中晴子です!」


昴さんにそっくりで、お人形さんみたいに可愛い女の子です。


「(田中家の遺伝子、最強じゃない!?)」


お義母様もとても美しいし...。

お義父様はどんな感じなのでしょうか...。



お互いに自己紹介を済ませ、ゆったりとした時間を過ごしました。


「あ、片付けは私が...」

「ありがとう!でも、晴子とお喋りして欲しいわぁ。」


お義母様は笑顔で茶飲みを持って台所へ行かれました。



「あの...」

「はい?」

「あ、兄が!いつもお世話になっています!!」

「そんな、こちらこそ!」


それから晴子ちゃんと、他愛も無い話をしました。

晴子ちゃんもどうやら絵が好きな様で、

直ぐに仲良くなれました。


「さ、紗和さん!!」

「?」

「あの、“お姉さん”って呼んでもいいですか!?」

「勿論!!」

「ありがとうございます!!」


妹が出来たみたいで、凄く嬉しかったです。

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